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技術士試験 論文例「Ⅲ介護機器の開発・普及」

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問題

令和1年 技術士二次試験 機械部門 選択3(機械設計)より

論文例

介護機器の開発・設計・導入・普及に関して

1.課題の抽出

 具体例として、電動式外骨格タイプのパワーアシストスーツを挙げる。アシストスーツは介護者だけでなく被介護者の補助も可能である。且つ、介護施設だけでなく通常住宅でも使用可能なため増加する被介護者に対応する介護機器として重要である。

1.1.多様な要求への対応

 アシストスーツは現状でも一定の汎用性を持つ。しかし、今後の介護需要の増加によって介護機器が使われる状況は多様になると想定する。したがって、使用場面や使用者に合わせた適切な機能を提供することが課題である。

1.2.安全性の向上

 アシストスーツは、作業中の誤作動や故障は使用者のケガ等に直接つながるため十分な安全性を要する。さらに、今後の介護需要の増加により機器の扱いになれた介護職員以外の使用を想定する必要がある。このため安全性のさらなる向上が課題である。

1.3.リカレントサービス化

 アシストスーツは、専用の介護動作を行う機器ではなく汎用性のある介護機器である。使用者が導入当初想定していた使い方以外でもアシストスーツを活用したい状況が発生する。これに対応するためにアシストスーツの価値をリカレントサービスとして提供することが課題である。

2.最重要課題とその解決策

 最重要課題は、「多様な要求への対応」である。理由は、使用者のニーズに応えられないと競争力が確保できず普及しないからである。以下に、この課題の解決策を示す。

2.1.品質機能展開(以下、QFD)の活用

 使用者の要求とアシストスーツの機能との対応を一覧化する。現状は想定する一定範囲の使用者の要求の中から優先度の高いものに対応した製品開発を行っている。これを使用者毎、使用場面毎に分けそれぞれについて要求の抽出と機能への展開を実施する。これにより常に必要な機能と特定の条件で必要な機能を詳細に整理する。

2.2.モジュール化

 要求される機能毎に細分化したモジュールを設計する。モジュールを組み合わせることで使用者毎、使用場面毎に合わせたアシストスーツを提供する。工夫としてメインとなる骨格フレームは共通とする。モジュールはインターフェース部分を共通設計とし取り付け互換を確保する。

2.3.付加製造(以下、AM)の活用

 多様性への対応としてアシストスーツは使用者の身体特徴に合わせた構造を有する必要がある。また、共有部品以外の生産数量は少ない。従来工法では生産量や複雑性の点で加工が困難である。AM活用により複雑な少量生産に対応する。

3.新たに生じうるリスクとそれへの対策

3.1.1.リスク:共有できない

 使用者に対して個別最適化されたアシストスーツを他人が使用した際に誤操作等が生じる可能性がある。

3.1.2.対策:使用者認識

 対策として、アシストスーツに使用者を認識する機能を搭載する。併せて、数人で共有して使用したい場合に備えてアタッチメント式の装着具を提供する。付け替えることで個別最適化された制御パラメータなどが切り替わるようにする。これにより誤操作を回避する。

3.2.1.リスク:使用状況の変化

 介護期間の中で身体状況が変化していく可能性がある。購入当初は不(必)要だった機能が後に必(不)要になる可能性がある。

3.2.2.対策:リカレントサービス化

 介護期間の中で適切なアシストスーツの機能を提供するためにリカレントサービスとして提供する。身体状況の変化に応じたモジュールの交換を可能にする。アシストスーツ動作時の発生トルク値から動作速度などを分析し身体状況を観測しアシストスーツの調整や部品交換を適切なタイミングで提供する。

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論文骨子

安全性の課題で回答(フールプルーフ、フェイルセーフ、フォルトトレランス、3ステップメソッド)すれば書きやすかったと思うが問題文にニーズを把握という箇所があったため多様性の課題を選択した。

QFD(企画観点)>モジュール(設計観点)>AM製造(製造観点)までのパターンもたまに使えるので覚えておくとよい。

このようなパターンをいくつか持っておくと作文速度がある程度確保されるので良い。

リスク対策のリカレントサービスは今回の回答においては適当と思うが、安易に使うと専門(機械設計)からはズレていると判断される可能性があるので注意したい。

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