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技術士試験 論文例「Ⅲ輸送環境負荷低減のための製品設計」

問題

令和5年 技術士二次試験 機械部門 選択3(機械設計)より

論文例

1.輸送時の環境負荷低減のための製品設計課題

 具体例として射出成型機を挙げる。射出成型機は、一般的にトレーラとコンテナを用いて陸海路で輸送される。

1.1.軽量化

 製品重量が大きいと輸送時においての環境負荷が大きくなる。射出成形機は大型のものは100トンを超えるため軽量化することで環境負荷の低減につながる。

1.2.高密度化による小型化

 重量としては小型のトレーラで輸送可能でも製品のサイズが大きいと大型のトレーラで輸送しなければならない。このため製品の小型化は環境負荷の低減につながる。

1.3.分解組み立て性の向上

 射出成形機は、射出部や型締め部のようにいくつかのユニットに分解可能である。分解し輸送コンテナ等に高密度に積載することで一度の航海で多くの製品を運べる。このため、分解組み立て性の向上は環境負荷の低減につながる。

2.最重要課題とその解決策

 軽量化を最重要課題とする。理由は、軽量化が実現されることで輸送時の環境負荷のみならず使用材料の軽減や廃棄コストの低減などサプライチェーン全体での環境負荷の低減につながるからである。以下に解決策を述べる。

2.1.材料の変更

 使用している材料を低密度なものに変更する。射出成形機では、鋳物部品が多用されているので代替え材料としてミネラルキャスティング(以下、MiCa)を採用する。MiCaの密度は鋳物と比べ1/3程度であり製造工程や廃棄工程でも環境負荷が比較的小さい。弾性係数が小さく引張荷重に弱いので全箇所の適用は困難であるが、圧縮には比較的強いため型締め部の固定盤などの土台に採用することで軽量化を行う。

2.2.形状の体積最小化

荷重条件に対する形状の最適化を行い各部品の体積最小化を行う。多用されている鋳物部品についてはトポロジー最適化手法を用いる。型締め部品のたわみはバリなどの成形不具合につながるため型開力の生じる位置など境界条件は十分考慮する。

2.3.発生応力の低下

 構造にかかる負荷を小さくし発生応力を低減させることで部品の必要な肉厚を低減させ軽量化を図る。射出成形機の型締力は、固定盤と可動盤が金型を介して全面接地した時の最小型締力とキャビティ内樹脂圧×成形品投影面積の型開力の和である。可動盤はガイドに習い移動するためガイドのガタが大きいと固定盤との平行が崩れ全面接地に大きな力が必要になる。このため、ガイドのガタを小さくし発生応力を小さくする。また、キャビティ内樹脂圧はゲートからの流動長が長いほどゲート付近の樹脂圧が高くなる。このため、ゲート数を複数にする多点ゲート方式を採用することで樹脂圧の低下を図る。これにより型開力を小さくし部品への発生応力を低減する。

3.解決策を実施しても新たに生じるリスクとその対応

3.1.リスク:ウエルドラインの発生

 多点ゲートの採用により成形品や成形条件によって新たな成形不具合が生じる可能性がある。特に流動樹脂がぶつかった際に生じるウエルドラインの発生が考えられる。

3.2.1.対応:金型温度の上昇

 ウエルドラインは、加熱された樹脂が金型のなかに流れていく間に熱を奪われ冷えてしまうことが原因で発生する。このため、樹脂の温度や金型の温度を今よりも高く設定し、樹脂が温度を下げずに流れられるようにする。樹脂が固まる時間を遅らせることでウエルドラインができるリスクが軽減される。

3.2.2.対応:ゲートの充填タイミングの調整

 ウエルドラインは、温度の下がった樹脂が合流し溶け合わないことで生じる。このためまずゲートaから充填を開始し樹脂がゲートbまで流れたタイミングでゲートbの充填を開始することで合流が生じない樹脂充填を行う。これによりウエルドラインの発生リスクが軽減される。

論文骨子

論文作成検討に用いた骨子

課題:軽量化からの解決策:材料変更、形状最適化、プラス1の流れは機械部門ではよく出るので自身の分野にあわせたネタを用意しておくとよい。

プラス1のところで専門性のアピールができるような内容で構成したい。

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