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機械設計技術者試験1級 論文例「コストダウン」

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問題

機械設計技術者試験1級 R1 小論文より

コストダウン活動といえば製造コストを中心にとらえがちであるが、グローバル競争やアフターサービス等が重視される今日において、設計-製造-販売-補修等-廃棄までのトータルコスト(ライフサイクルコスト)が最小となるような活動が重要である。このような視点から、あなたの職場のコストダウン活動の基本姿勢についてどのような方策が考えられるか述べよ。1300-1600字

論文例

はじめに

近年の市場で競争に打ち勝つためには高品質,低価格,タイムリーな市場への投入以外の要素で優れていなければ,投入される新製品が市場で受け入れられる可能性は低くなりつつある。そこで,地球環境保護や将来的なエネルギー資源の枯渇が企業だけではなく,社会全体にとって大きな問題になっている状況下ではライフサイクルコストの小さい製品を開発することは,市場での競争優位を勝ち取るための一つの有力な方法であると思われる。

ライフサイクルコストは製造コストのみを計算するのではなく,製品の需要者側で発生するコストも含めた,製品あるいはシステムのライフサイクル全体にわたり発生するコストを計算するという特徴がある。また、ライフサイクルコストは開発・設計段階で,どのような機能を付与するか,どのような原材料を選択するかなどの決定により,その大半が決定してしまう性質があるため,ライフサイクルコストを最小化するためには,製品の開発・設計段階を重視する必要がある

私の職場の基本姿勢と方策について
基本方針は開発設計時の設計データ、調達情報、製品検査情報、IOTデータから得られる顧客の使用状況や保守データ等の製品ライフサイクル全体にわたる情報を管理し最適化することである。
そして、方策として既に活用していたPDMデータを拡張しPLMシステムの導入を実施している。

PLMシステム(製品管理マネジメント)の導入
PLMの主機能は①変更管理、②権限管理、③構成管理、④追跡性及び関連管理である。
これらの機能から得られるライフサイクルコストに対するメリットを以下に挙げる。

品質管理の向上
高品質な製品を作るためには、高度な設計プロセスや品質検査、品質管理が必要になり、現場に大きな負担を強いている。そこでPLMで製品ライフサイクル全体における情報を一元管理することで、現場の負担を増やさずに品質の向上を図ることで長寿命化やメンテナンスフリーなどの製品ライフコストを低減する特徴をもった製品を開発できる。

業務効率
製品ライフサイクルにかかるすべての情報を一元管理することですべての部署がシステム上で必要な情報を共有・確認できるようになることで製造者側の製造コスト(労務費)の削減につながる。
例えば、顧客情報との製品の不具合部品の管理ナンバーがすぐに確認でき交換部品の手配と納期管理までをシステム上で管理すれば、顧客との対応時間は削減でき製品復旧までの時間も短縮できるので、製品ライフサイクルコストは削減できる。

標準化の推進
PLMの導入によって部品及びユニット(以下、モジュール)の標準化の推進を促進することが可能になる。モジュールの標準化により新規設計個所の減少、一括加工・購買による加工費や購入費の削減、共通在庫による管理費削減、標準モジュールの使用増加による信頼性向上などのメリットが享受できるので製品ライフサイクルコストが低減する。

さいごに
技術の高度化や統合化及び要求ニーズの多様化に伴い機械設計に求められるレベルもともに高度化と多様化が進んでいる。とくに持続可能性やカーボンニュートラルなどの環境負荷低減に対する要求は喫緊の課題となってきている。ライフサイクルコストを最適化することはこれらの課題解決へと結びつくため慎重かつ積極的な行動をとっていきたい。

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