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機械設計技術者試験 論文例「主体業務に専念する」

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問題

機械設計技術者試験1級 R3 小論文より

設計主体業務(本来業務)に専念するための方針について
設計業務を設計者からみたとき、①主体業務②付帯業務③関連業務の3業務によって構成される。思考を対象とした設計の本来業務は①であり、①に専念させるための方策について述べよ。

論文例

はじめに
 設計現場では、厳しい経済状況や人手不足という逆境の中で短納期化とコスト削減を併せ、多様な市場ニーズに対応することを要求されている。限られた設計者の工数をどのように投資するかは業務遂行の結果の良否に影響する最も大きなポイントといえる。
設計者が工数をかけるべき業務は主体(コア)業務であり、大別すると

  • 要求仕様:要求仕様を明確化するプロセス
  • 設計:要求仕様を実現させるため、設計パラメーター(設計諸元)を確定するプロセス

になる。これら以外の業務は付帯業務と関連業務を含む間接業務に分類される。
 例えば、図面作成や部品表作成も選択された設計パラメーターを意味のある塊として表現するプロセスとして重要ではあるが間接業務に分類される。

主体業務に専念するための方策
以下に、主体業務に専念するための方策をのべる。

業務の分解
主体業務と間接業務は複雑に関連しあっている場合が多く分離できないがために設計者自らが間接業務まで過剰に対応している、まずは業務全体の内容を精査しリストアップを行いそれらが主体業務と間接業務のどちらかを明確にする。また、それらの業務にかけている工数も明らかにする。

間接業務の削除
不要な間接業務・形骸化している業務については削除する。例として、特筆事項がない定例会の資料作成、単なるルーティンで行っているミーティングなどといった業務を廃止する。

間接業務の効率化
必要な間接業務については効率化のためのDXツール、システム等を積極的に導入する。
 例えば、PDM(製品データ管理ツール)を導入することでCADやドキュメントデータを一元管理し検索機能を使うことで設計者の情報集めのための工数を削減する。またPDMワークフロー機能を使い情報の確認や承認依頼の可視化を行い業務が円滑に進む環境を整える。

外注化
設計者が対応していた間接業務で社内の他社員が対応できない業務(製図、3Dモデリングなど)については外注化を検討する。また自社の主要技術ではない設計範囲についても外注化を検討する。

これらの方策により設計者が主体業務に専念するための環境を構築する。

主体業務について
間接業務から解放された設計者の工数は効率化と併せて業務を高度化して付加価値や成果を増やしていくことも重要であるので、主体業務の高度化について述べる。
図面品質や図面コストを良くするためには「要求仕様」と「設計」のプロセスを良くする必要がある。そのためには顧客要求・設計値といった価値を情報化する。設計の本質は、パラメーターを決める行為であり、設計諸元をどう決めるのかということである
 現状、設計諸元やパラメーター、決め方のノウハウは設計者の頭の中にあることが多い。これを情報化することが大事である。

設計については、以下の2種がある。

  • 基本形状設計・方式選定
  • 相似形設計

 相似形設計は基本形状(ポンチ絵)の伸縮で表現できる設計のことであり、相対的な付加価値は少ないため、徹底的に効率化(自動化)させる。設計諸元表をデータベース化し、パラメトリック設計を適用する。
そのかわり、設計者は基本形状設計・方式選定において新しい形・方式を生み出す部分に注力し、競争力を高める。
また、設計諸元の管理は中長期的な計画でもって整備し、キーパーツや付加価値高い部分からデータベース化していく。

論文評価

小論文科目では、設計者としての分析洞察力、将来展望、社会認識や責任能力について評価される。

本問題は、主体業務がどのようなものかと限られた設計者の工数をどのように投資するか。についての問いである。

本論文では、最初に主体業務がなんであるかを定義し、主文で関節業務を切り離すための解決策を述べた。

最後には、投資すべき主体業務の展望について述べた(DXの活用)。

本論文は、問題に対する答えが十分書かれており社会責任に対するアピールもできているので評価を獲得できると思われる。普段の業務で当たり前のようにやっている内容かもしれないが一度でも言語化したことがないといきなり文章にするのは大変だと思う。
試験準備として、日常の各業務がなんのために存在するか意識してみるとよい

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もののほん

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