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機械設計技術者試験 論文例「標準化」

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問題

機械設計技術者試験1級 R3 小論文より

標準化が十分に行われなかった際の損失について 設計の標準化とは「設計製造部門ならびにそれらの関連部門の間で、互いに便利でしかも利益が得られるように設計の方法手順様式用語について統一化、単純化を図るための取り決めをけっていすること」であると言われている。設計業務多忙の中で、標準化が十分に実施されなかった場合の損失について述べよ。

論文例

はじめに

標準化とは、標準化とは複数の製品、設備において部品やユニットを共通化する事によって設計及び生産の効率化を実現する手法である。

標準化が十分に実施された場合の期待されるメリット

標準化が十分に実施された場合は以下の標準化によるメリットが期待できる。

  • 新規設計箇所の減少

共通部品、モジュールを使用することで全体に占める新規設計部分を減らすことができるので、全体の設計工数が減らすことができ、より重要な部分に時間を費やすことが可能となる。また、設計工数の削減による人件費の削減も期待できる。

  • 標準部品に使用頻度増加による信頼性の向上

標準化された部品、モジュールは多機種にわたって使用される、使用実績のある部品、モジュールあるいは構造を使用することで設計対象全体の信頼性を向上できる。

  • 部品加工費、購入費の削減

共通部品は一括加工することができ、段取り替えを減らすことで加工時間の短縮が可能となり、加工費を削減が期待できる。

共通部品についても、一括購買により購入費の削減を期待できる。

  • 共通在庫となるため、在庫総量の削減

標準化が十分に実施されなかった場合の損失

機械設計者が業務多忙の中で、これらのメリットを受けられない場合の損失については以下が想定される。

  • 設計工数の増加

新規の設計箇所が増加するため必要な設計工数が増加する。このため重要設計に対して十分か工数を分配できないリスクが生じる。また、同様機能の部品、モジュールに対して統一されていない設計思想による設計が実施され技術伝承の際に混乱をきたすことも考えられる。

  • 信頼性評価(検証)工数の増加

新規部品、モジュールが多くなるため、信頼性評価のための工数が増加する

  • 管理コストの増加

加工時の段取り替えによる工数費や品目の増加による在庫管理費などの管理コスト費用が増加するため利益が減少する。

機械設計業務においてこれらの機会損失を許容し続けることは難しいため、標準化の推進は十分に実施すべきである

標準化が推進されない要因

標準化が推進されない要因について述べる。

  • 設計者への認識教育の不足
     標準化を効率的に進めるためには設計者に正しく標準化のメリットや必要性を認識してもらう必要がある。設計者によっては「自由な設計を阻む」ことと受け止められることがあるため、設計工数の削減、それにより重要な部分への時間を充てられるというメリットを説いて納得を得てもらう。設計者に共通部品、モジュールを使用する意識が無い場合、標準化の推進は進まないため認識教育、説明を十分に行う。
  • 標準部品、モジュールの質、量の準備
     標準部品の選択肢が少ない場合、結局新規で設計する必要が生じてしまう。また標準部品、モジュールの信頼性が低い場合や対応範囲が限定されている場合は安易に使用することができず、新たに設計する必要が生じてしまう。そのため標準部品、モジュールの質と量の充実を図ることが大切である。
  • 標準部品情報へのアクセス性、更新などデータ管理
     揃えた標準部品、モジュールをすぐに使用できる環境を整える必要がある。特にCADデータが使用できることが設計者にとっては重要である。求める部品のデータが探しやすく、見つけてからダウンロードやコピーを行い直ちに使用可能にすることを可能にしなければならない。また保管されている部品やモジュールデータは改善による更新や変更者記録など適切に管理し、永続的に使用できるものとする必要がある。

最後に

技術の高度化や統合化及び要求ニーズの多様化に伴い機械設計に求められるレベルもともに高度化と多様化が進んでいる。標準化を用いた戦略は設計の効率化のみならず信頼性向上や組み合わせ設計による多様化ニーズに応えることにもつながる。正しく実施すれば、初期投資分以上の貢献は十分に期待できる。

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