問題
令和3年 技術士二次試験 機械部門 機械設計 選択2‐2より
論文例
1.形状最適化を行うに当って調査検討すべき項目
具体例として、延伸ブロー成形法にてペットボトル等を製造する際の素材である有底パリソンプリフォーム(以下、PFM)を挙げる。PFMはボトルの機能やデザインに合わせた最適な形状を設計する必要がある。
1.1ボトルの仕様を調査する
同一のPFM形状から複数種類の形状のボトルを成形する。このため、PFMの設計要件は主に最終製品である複数のボトルの仕様により定まる。重要な項目として、重量、デザイン、耐熱温度、材質、強度が挙げられる。
1.2 延伸ブロー成形機の仕様を調査する
PFMをボトルに成形する際の成形条件は延伸ブロー成型機の特性に依存する。したがってPFMの最適形状はボトル仕様と延伸ブロー成形機の仕様から逆算した実現可能領域の範囲内で設計する必要がある。
1.3 PFMの成形性を検討する
近年のボトルは環境配慮の背景から樹脂使用量の削減要求が高まっている、このためPFMの肉厚が薄い箇所での成形流動性に留意する。特に、小型・軽量のボトル用のPFMは一定以上の強度が必要な口元のねじ部と延伸ブロー成形時に安定した温度を保つために一定以上の肉厚が必要になる胴部において樹脂の取り合い(トレードオフ)が生じる。各所での最適な肉厚分布を設計するため流動性解析などのシミュレーションが必要である。
2.手順と留意点・工夫点
2.1 基本設計
過去の実績値を参考にPFM仕様を設計する。過去の実績値はボトルとPFM仕様の特徴量を抽出し分類してまとめておく。
2.1 詳細設計
PFMをボトル形状へ延伸ブロー成形する際のシミュレーションを行う。留意点として、温度のばらつきが生じた際のマージンまで把握する。工夫点として、一般的な解析ソフトでは効率が悪いので専用ソフトを開発する。
PFM成形時の流動性解析を行う。
2.3 試作・評価
金型を製作し成形検証を行う。留意点として、解析結果との妥当性を考察する。差異があれば解析ソフトのアルゴリズムに反映し次回開発に活用する。工夫点として、金型の追加工が容易にできるように肉薄になるように初期寸法を設定しておく。
3.関係者との調整方策
設計リーダーはミニDRを計画し各担当の進捗管理や検討を促す。 各段階でDRを実施。設計情報を共有しコンカレントに各工程の問題点を抽出する。行程下流の課題についても設計部にて自由度の高い解決策を検討する。