技術士として独立し、専門的なスキルを活かして仕事をしているのに、思うように収入が増えないと感じていませんか?
技術士にとって収益を最大化するカギは、効果的なマーケティングにあります。専門性を明確にし、適切な方法でクライアントに伝えることで、より高い価格で案件を受注することが可能になります。
日本技術士会の調査によれば、多くの技術士が十分な報酬を得ていない現状があり、その原因の一つが「コモディティ化された業務」にあります。しかし、専門性を際立たせ、適切なマーケティング戦略を採用することで、この状況を打破し、収入を大幅に向上させることができるのです。
独立技術士の収入はどれくらいか
技術士の報酬は時給5,000~10,000円程度
現在、日本には約10万人の技術士登録者がいますが、その中で独立して事業を行っている技術士は約8%、約8,000人ほどです。(参考:日本技術士会「技術士制度について」)
この独立技術士の収入について、日本技術士会の調査では、約70%の業務の時給は10,000円以下の報酬しか得ていないことが分かっています。
(出典:日本技術士会「技術士報酬アンケート結果」)
仮に時給5,000円で8時間労働すると、1日の収入は40,000円になります。これを年間240日稼働すると、年収は約960万円。しかし、この金額を達成するためには、常に仕事が途切れなく続く必要があり、現実にはこのような状況を維持するのは簡単ではありません。
国の基準と技術士の実際の報酬の差
一方で、国土交通省が発表している「設計業務委託等技術者単価」では、技術士に相当する主任技師の単価は、1日64,800円とされています。技術士の実際の報酬は、この基準に比べてかなり低いことが分かります。
(出典:国土交通省:「設計業務委託等技術者単価について」)
また、日本技術士会が発行する「技術士業務報酬の手引き」では、2010年の時点で、技術士基準日額は68,100円/日とされています。このような基準を考えると、技術士が受け取るべき報酬は、もっと高くても良いはずです。
なぜ技術士は儲からないのか?
定型業務がコモディティ化している現状
技術士として提供する業務内容を見ると、定型的な業務が上位に来ています。たとえば、生産管理・工程管理、品質管理、設計・積算、講演・セミナーなどが主な業務です。
(出典:日本技術士会「技術士報酬アンケート結果」)
これらの業務は、確かに専門的な知識を必要としますが、多くの技術士が取り組むために、結果的に「誰でもできる業務」として市場における価値が低下し、価格競争に巻き込まれてしまいます。
この状況をビジネス用語では「コモディティ化」と呼びます。コモディティ化した業務は、差別化が困難になり、市場価格が主な比較基準となるため、自然と低価格競争に陥るのです。その結果、技術士の報酬も下がってしまうわけです。
しかし、技術士の中でも、報酬が高い人は存在します。「技術士報酬アンケート結果」によれば、3%の業務では50,000円以上の報酬を得ているケースもあります。これらの技術士は、単なる定型業務ではなく、専門性の高い業務で差別化を図っている可能性が高いのです。
専門性の明確化が定型業務から抜け出すカギ
コモディティ化された業務から抜け出すには、「専門性」を明確にすることが重要です。技術士として専門知識やスキルを持っているのは当然ですが、それをどうクライアントに伝え、差別化を図るかがポイントです。
専門性を明確にするためには、これまでのキャリアを整理し、「他の人よりほんの少し得意なこと」を見つけ、それを組み合わせることで独自の価値を生み出せます。例えば、「自動車業界向けの品質管理+AI技術の導入支援」のように、特定の業界と技術を組み合わせることで、他にはないポジションを築けます。
既に専門性は持っているにもかかわらず、表現できていない人もいます。専門性とは「他の人より少し得意なことの組み合わせ」です。難しく考えず、キャリアを振り返って自分の専門性を明確にし、その専門性でクライアントの課題を解決していきましょう。
専門性についての参考書籍
既存顧客の価格を挙げるのは基本的に困難ですが、困っている人の課題を解決してあげることができれば高価格でも受注していただけることが期待できます。あなたの「専門性」に期待してやってくるお客様の課題を解決しましょう。
では、どうやってそのような困っているクライアントを見つければよいのでしょうか?
困っている人と技術士をつなぐWebマーケティング
技術士として高価格の業務を獲得するためには、クライアントがあなたを見つけやすくするためのマーケティングが欠かせません。特に、Webマーケティングは、現在のビジネス環境において必須の手段です。
必要なサービスをさがす主な方法はWEB
下記は、製造業界についての調査結果です。必要なサービスをさがす際に多くの方がWEBを利用しています。また、約8割の方はWEBでの情報をもとに選択肢を絞ってから営業担当に問い合わせをしていることが分かります。
このデータが示す通り、困っている人がGoogleで検索をした際に、あなたの製品やサービスが表示されるようにすることが、クライアントとの接点をつくる第一歩です。
WEB上にどんな情報を載せるべきか?
では、WEBサイトにどのような情報を載せるべきなのでしょうか?「オンラインでの製品選定の実態調査」によると、顧客が最も求めている情報は以下の3つです。
- 製品情報・仕様(81%)
- 価格(79%)
- 納期(54%)
(出典:イントリックス株式会社:問い合わせを起こすまでのユーザー行動調査)
これらの基本情報に加えて、「導入事例」や「導入効果が具体的に分かる情報」も求められています。つまり、あなたの技術力やサービスを効果的にアピールするためには、単なる技術説明だけでなく、実際にどのような効果をもたらしたかを具体的に示すことが重要です
(出典:イントリックス株式会社:ブランド認知による購買行動への影響度調査)
つまり、 基本的な情報(仕様・価格・納期)や<導入の事例>をとおして技術力・アフターサービス・ニーズ対応力をアピールできるかどうかがポイントです
基本的な情報である仕様、価格、納期や導入事例は、クライアントが製品やサービスを選ぶ際に欠かせないものです。しかし、それだけでは不十分です。困っている人があなたのWEBページにたどり着くためには、さらに工夫されたコンテンツが必要です。
では、そのコンテンツを具体的にどう作成すればよいでしょう。
コンテンツの作成方法
効果的なマーケティングのカギは、ユーザーが必要とする情報を適切なタイミングで提供するコンテンツです。専門性や独自の強みをアピールしつつ、ユーザーの課題に即したコンテンツを作成することでクライアントと信頼関係を築くことができます。
効果的なコンテンツマーケティングのアプローチ
作成するべきコンテンツにはいくつかの種類がありますが、それぞれのコンテンツは顧客の購買プロセスの段階に合わせて作成することが効果的です。ここでは、いくつかの方法を紹介します。
ユーザー行動フローからキーワードを探す
「ユーザー行動フローからキーワードを探す」という方法では、顧客が情報収集から購買に至るまでの行動を段階別に整理し、各段階で必要とされる情報を分析します。たとえば、初期段階では製品やサービスの概要が重視されますが、購買に近づくにつれて導入事例や具体的な技術情報など、より詳細な内容が求められます。これに基づいて、顧客が各段階で抱える課題を解決するためのコンテンツを準備することで、より効果的にアプローチできます。
また、ターゲットとなるユーザーの行動フローを整理することで、彼らが各段階でどのような関心事を持ち、どのような情報を求めて検索しているかを把握できます。この情報をもとに、検索エンジンで使われるキーワードを見つけ出し、効果的なコンテンツを作成することができます。
MFTフレームワークからキーワードを探す
「MFTフレームワークからキーワードを探す」では、Market(市場)、Function(機能)、Technology(技術)の3つの要素を組み合わせ、自分の技術がどの市場や機能で活用できるかを幅広く検討します。これにより、新しい市場への展開や応用の可能性を探ることができます。
特定の業界に限定せず、その技術が他の産業でも活用できる場面を見つけ、コンテンツを通じてその強みをアピールすることができます。たとえば、現在活用されている業界以外にも技術を展開することで、競合企業との差別化を図り、新たな市場でのリードを取ることができます。
抽象化/具体化からキーワードを探す
「抽象化/具体化からキーワードを探す」では、キーワードを抽象的な概念から具体的な内容に変えることで、異なる角度からのキーワードを発掘します。
抽象化によって広範なキーワードを網羅し、調査漏れを防ぐことが目的です。一方、具体化することで、より競争の少ないニッチなキーワードを発見できる可能性があります。ただし、具体化したキーワードに需要があるかどうかは調査が必要です。ニッチなキーワードを見つけることで、競争を避け、効果的なSEO対策を行うことが可能になります。
関連キーワードを探す
キーワード選定ツール(例えば「ラッコキーワード」など)を利用して、自分の技術やサービスに関連する検索キーワードを調べます。競合性が低く、かつ顧客のニーズに合ったニッチなキーワードを見つけることが、Webサイトの検索エンジン最適化(SEO)には非常に重要です。
⼯程の前後からキーワードを探す
「工程の前後からキーワードを探す」では、リストアップしたキーワードに関連する前後の工程を考慮して、さらにキーワード候補を広げていきます。たとえば、製造プロセスの一部に関するキーワードを調べる際、その前後に必要となる技術や作業も考慮することで、関連キーワードを発掘することができます。
さらに、この前後の工程を抽象化・具体化することで、より多くのキーワード候補を見つけることができます。これにより、幅広いユーザーの検索意図に応じたキーワード戦略が立てやすくなります。
キーワード探しの注意点
競合性の高いキーワードは避ける
誰もが思いつくキーワードは競合が多く、SEOの難易度が高くなりがちです。検索順位で上位10位以内、つまり1ページ目に表示されなければ、ユーザーのアクセスを獲得するのは難しいです。そのため、競合が激しいキーワードは避ける方が良いでしょう。
ニッチなキーワードを狙う
検索ボリュームが少ないニッチなキーワードであっても、競争が少なく、TOP10入りする可能性が高いキーワードを選定することが定石です。少数のユーザーでも、効果的にアクセスを集められるような戦略が重要です。
抽象的なキーワードに注意
抽象的すぎるキーワードは、ユーザーが求める具体的なニーズと一致しないことがあります。そのため、アクセス数は多くても、実際のリード獲得につながらない可能性が高くなるので注意が必要です。
最終目的は、○○といえばあなたとなるためのコンテンツマーケティングへ
マーケティングを成功させ、より高価格の案件を獲得するためには、単に情報を発信するだけでは不十分です。最終的に目指すべきは、「○○といえばあなた」と認識されるようなブランド構築です。
ここで重要になるのは、技術士としての実績を棚卸しし、自分が他とどう差別化できるかを明確にすることです。その際には、以下の方法を検討してみましょう。
- Webサイトの充実:技術力や実績、導入事例、価格など、顧客が求めるすべての情報をわかりやすくまとめたWebサイトを構築します。特に、SEOを意識したキーワード戦略や定期的なブログ更新が効果的です。
- YouTubeや論文執筆を活用:動画プラットフォームや専門メディアを活用して、より多くの顧客にリーチできるようにします。たとえば、自身の技術を紹介するYouTubeチャンネルを開設し、技術的な解説動画を配信することも有効です。
- 書籍や講演活動:専門分野に関する書籍の執筆や業界イベントでの講演活動を行い、自身の専門性を広くアピールします。これにより、技術士としての信頼性を高め、ブランド力を強化することが可能です。
【参考】WEB制作会社に依頼した際の費用イメージ
参考にコンテンツマーケティングを専門業者に依頼した際の費用の参考値を紹介します。よろしければご参考になさってください。
最後に|人の役に立つには技術力があるだけでは届かない
技術士として高い技術力を持っていても、その技術が必要とされている人に届かなければ、その価値は十分に発揮されません。これまでに解説したように、Webマーケティングを活用し、自分の専門性や強みを明確にし、それを的確に発信することで、あなたの技術を必要とするクライアントに見つけてもらえるようになります。
あなたの技術力は、きっと誰かの問題を解決し、大きな価値をもたらすことができます。しかし、それを広めるためには適切なマーケティングが不可欠です。今すぐ、あなたのビジネスにマーケティングを取り入れ、技術力だけではなく、その価値を届ける仕組みを整えましょう。
ちなみに、弊社「工房もののほん」でもコンテンツ作成サービスを提供しています。
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