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2024年公的資料から読み解くAI人材不足|必要なのはエッジAI人材

近年、AIの進化が急速に進む中、AI技術の導入が企業にとって避けられない選択肢となっています。しかし、多くの企業でAIを活用するために必要な人材が不足しており、導入が思うように進まない現状が広がっています。

実際、2024年の公的資料では、AI人材不足が深刻化していることが明らかにされました。そして、単なるAIエンジニアではなく、各業界の専門知識を持つ「エッジAI人材」が求められているという指摘が強調されています。

AI技術が高度化するほど、特定分野に深い知識を持ちながらAIを活用できる人材の価値が高まっているのです。

本日は、公的なデータや市場動向をもとにAI人材不足の背景を探り、その中でも特に注目される「エッジAI人材」の重要性について解説します。AIの導入はすべての社会人に関わる変革です。本記事を参考にキャリア計画について改めて検討してみましょう。

AI技術はいよいよ本格的に導入される

「ガートナーのハイプ・サイクル」をご存知でしょうか。

大手企業や政府機関を顧客に持つIT分野を中心とした調査・助言を行う企業であるガートナー社が作成した新しいテクノロジーが黎明期から安定生産されるまでのどの段階に位置しているかを記したグラフです。

このグラフにおいて、AI(人工知能)は今後数年かけて生産の安定期に入ることが示されています。


(出典:「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2024年」

また、IPA(情報処理推進機構)「DX動向2024」によると、AI技術は実用化の段階に差し掛かっており、追従する形で生成AI(Generative AI)も注目を集めています。これらの技術には、リアルタイムなデータ処理や新たなコンテンツの生成などの革新的な価値提供が期待されています。

実際、企業でのAIの導入は緩やかではあるが確実に増えていることが下記のグラフから分かります。「導入している」「現在実証実験を行っている」の回答割合の合計は約35%で2021 年度から年々増加しており、今後5年程度で米国の水準(約55%)まで増えることが予想できます。

(出典:「DX動向2024」)

AIが安定して供給されるようになると必要になるのはエンジニアだけでなく、AIをどう利用して価値を産むかを考えるビジネスパーソンも必要になります。

公的資料から読み解くAI人材不足

経済産業省の「IT人材に関する調査報告書」(2019年)では、2030年には約16~79万人のIT人材が不足すると予測されています。

(出典:「IT人材に関する調査報告書」)

2023年の調査でも、「大幅に不足している」と回答した企業が62.1%と人材不足は深刻化している。DX 取組が推進していく中で、不足感が増していると考えられる。また、社会全体として人手不足が進んでいることも影響していると考えられる。

(出典:「DX動向2024」)

特に不足しているのは「デジタルアーキテクト」と「データサイエンティスト」

DX を推進する人材の中でも、どのような人材が不足しているかについての調査結果を見ると、最も足りない人材は、DX の目的設定から導入、導入後の効果検証までを関係者をコーディネートしながら一気通貫して推進する「ビジネスアーキテクト」、次に足りない人材は「データサイエンティスト」です。

(出典:「DX動向2024」)

この結果からAI分野の人材不足は特に深刻で、企業のDX推進における大きな課題となっていることが分かります。

現状は、多くの企業が人材確保の方針に戸惑っている

次の図はDX 人材を獲得するにあたっての課題を調査した結果です。「魅力的な処遇が提示できない」「戦略上必要なスキルやそのレベルが定義できていない」の回答率が特に高く、処遇とスキル定義に関する制度上の課題が上位を占めています。また、「募集しても応募が少ない」「魅力的な処遇が提示できない」が急増していることから、DXが社会全体で浸透しつつある状況での人材不足が進んでいることが分かります。

(出典:「DX動向2024」)

 日本ではメンバーシップ型雇用が主流なため専門人材が育ちづらい傾向があるため、中途採用市場に専門人材が少なく、企業はDX専門人材を募集してもマッチングしません。さらに、年功序列型の賃金制度との整合が取れず、高額のオファーなどの魅力的な処遇を提示できない点も大きな課題となっています。

このため、結局はこれまで通り社内教育でDX人材を育成確保する方針の企業が多くなっています。また、米国との差が顕著なのは「特定技術を有する企業は個人との契約」でジョブ型雇用が主流の米国とメンバーシップ型雇用が主流の日本で大きく差が出ています。

(出典:「DX動向2024」)

しかし、実際には、DX人材育成の予算についてもあまり増えていないのが現実で、阻害理由としては「スキル獲得させるための時間確保」や「育成戦略や方針が不明確」なことが上位に上がっています。

(出典:「DX動向2024」)

ここで大事なことは、「育成予算の確保」「育成戦略や方針が不明確」の回答割合はDXの成果が出ている企業の方が低く、その差も大きいことから、DXの成果が出やすい領域や職種ではすでに状況の改善が進んでいることです。現状はまだ、多くの企業が人材確保の方針や制度改善に戸惑っていますが、今後はDX人材の処遇が良くなることが想定されます

AI人材の市場価値と報酬

AI人材の需要増加に伴い、その市場価値も上昇しています。特に、ディープラーニングやAIなど高度な技術スキルを持つ人材は高く評価されているため、高収入を得ています。

次の図は「IT人材白書2020」の調査結果です。AIを含む先端IT従事者の現在の年収は1,000~1,500万円が最も多くなっています。これは、AI人材の希少性と高度な専門知識への対価を反映しているといえます。

(出典:「IT人材白書2020」)

求められる「エッジAI人材」

人材不足とAI活用の動きが広がっている中、注目されているのは「エッジAI人材」です。「エッジAI人材」とは、AIモデルを現場で活用する際に、効率的な現場運用を実現するための人材のことを指します。

例えば、AI導入を内製化するには、高度なソフトウェア開発の知識を持つ人材が必要ですが、多くの企業はこのような人材を所有していません。AIの専門家を新たに採用しようとしても、他の業界でも引く手あまたのため、簡単に確保することは困難です。

なので、外部のソリューションプロバイダーにAI導入を任せますが、ビジネス側がAIの特性や限界を十分に理解していないと、要件定義が不明瞭で、プロジェクトが無限地獄に陥ってしまいます。このような課題を解決するエンジニアとビジネスの橋渡し役となる人材が「エッジAI人材」です。彼らは、ビジネス要件をAI技術に翻訳し、効率的な導入を支援する重要な役割を担います。

(参考記事:「AI導入を阻む2つの壁 どうすれば打ち破れるのか」)

ちなみに、「エッジAI人材」の具体的な定義はまだされていませんが「DX動向2024」で定義されている「ビジネスアーキテクト」と「データサイエンティスト」の中間のイメージです。AIの知識をもつ立場から、AI導入の目的設定から導入、効果検証までを主体的に推進できる人材のことです。

(出典:「DX動向2024」)

「自身の専門」と共に「AIスキル」も磨こう|学習方法も紹介

本日は、公的なデータや市場動向をもとにAI人材不足の背景を探り、その中でも特に注目される「エッジAI人材」の重要性について解説しました。

AI人材不足は深刻な課題である一方、自身のキャリアを飛躍させるチャンスでもあります。専門分野の知識にAIスキルを組み合わせることで、付加価値の高い人材になることができます。AIを「特別な技術」と捉えるのではなく、「これからの標準的なスキル」として積極的に学び、自身の専門性と組み合わせていきましょう。


最後に、AI 人材として学習するためのヒントをいくつか紹介します。

まず、「G検定」(関連記事)は、すべての社会人におすすめです。最低限のAIリテラシーを学び、AI人材としてのキャリアの第一歩として活用してください。

「ものものテック」は、AI・IoT・ロボティクスを中心とした、オンラインで学べる技術教育サービスです。ウェブブラウザを見ながらコードを実行しどこでもいつでも自主的に学べます。「実用的なもの」「新しい体験ができるもの」を成果物としたコンテンツが多数用意されているので、新しい時代の「ものづくり」を体験したい方におすすめです。(AIコンテンツとしては「OpenVINOでゼロから学ぶディープラーニング推論」がおすすめです。)

本格的に学びたい場合は、有料の講座もおすすめです。有料講座を受けるなら受講費用の50~70%が国から支給される「Skill up AIの給付金対象講座」がおすすめです。
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マナビDX」は、IPAが運営するデジタルに関する知識・スキルを身につけることができるポータルサイトです。誰でも、デジタルスキルを学ぶことのできる講座を紹介しています。※講座の中には、受講費用等の補助が受けられる講座もあります。

AIの導入はすべての社会人に関わる変革です。本記事を参考にキャリア計画について改めて検討してみましょう。

ご精読ありがとうございました。

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