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「本から学ぶ」問題解決の本質と知覚能力を鍛えるための実践法

日々の仕事や日常生活の中で、私たちはさまざまな問題に直面します。小さなトラブルから大きな課題まで、その本質はすべて「課題解決」にあると言えます。効率よく仕事を進めるためにも、問題を適切に解決するスキルは欠かせません。

しかし、すべての問題が同じ価値を持つわけではありません。重要なのは「どの問題に対して、どのように解決すべきか?」を的確に判断する力です。

本日は、問題解決の本質と、それに必要な知覚能力をどのように鍛えるかを具体的に解説します。

この記事では
  • 書籍「イシューからはじめよ/センスは知識からはじまる」のポイントを解説します。
  • そして、問題解決がどうあるべきか考え、解決に必要な知覚能力を鍛えるヒントを学ぶためのヒントを提供します。

「私は素晴らしく尊い仕事をしたいと心から思っている。そのために私がやらなければならないのは、ちっぽけな仕事をも素晴らしくて尊い仕事と同じように立派にやり遂げることなのだ。

I long to accomplish a great and noble task, but it is my chief duty to accomplish small tasks as if they were great and noble.」

ヘレン・ケラー

課題解決の本質: イシュー度と解の質

問題解決の質を高めるためには、解決する価値がある問題「イシュー」を見極めることが重要です。問題には「イシュー度」と「解の質」が存在し、この2つの要素が掛け合わさることで、課題解決の価値が決まります。

イシュー度とは?

イシュー度とは、解決すべき問題の重要性を示す尺度です。たとえば、チームの生産性を上げるために業務プロセスの改善をする場合、その問題がどれだけ早急に取り組むべきかを考える必要があります。イシュー度が高い問題は、放置することで大きな影響を与える可能性が高いため、優先的に取り組むべきです。

解の質とは?

解の質は、イシューに対してどれだけ効果的な解決策を導き出せるかを示す指標です。良い解決策は、問題の根本原因にアプローチし、持続的な効果をもたらすものです。表面的な対処ではなく、問題の本質に踏み込むことで、より高い解決策が得られます。

イシュー度と解の質のバランス

イシュー度が高く、解の質も高い解決策は、最も価値のある結果を生みます。逆に、イシュー度が低く、解の質も低ければ、どれだけ時間やエネルギーを費やしても成果は限られます。このような無駄な努力を「犬の道」と呼びます。

課題解決とはどう在るべきか

あらゆる仕事は「なにかをなんとかする」という意味で「課題解決」である。なので課題解決の価値が高いほど価値の高い仕事といえる。
では、どんな課題解決に価値が在るか?

課題解決の価値=「イシュー度」×「解の質」 

「イシュー度」とは、自分の置かれた状況でこの問題に答えを出す必要の高さである。「解の質」とは、そのイシューにたいしてどこまで明確に答えを出せているかである。これらが、共に高いレベルで導かれているかが課題解決に価値を決定する。

課題解決の2つのパターン

問題には、大きく分けて2つのパターンがあります。それぞれに適したアプローチを取ることで、効率的かつ効果的な解決策が見つかります。

パターンA: ギャップフィル型の問題解決

このパターンでは、「あるべき姿」が明確に存在し、現状とその間にギャップがある場合に適用されます。課題は、そのギャップを埋めるための解決策を見つけることです。

  • 解決方法:
    まず、イシューを見極め、問題を分解します。次に、各要素に対して優先順位をつけ、適切な解決策を見つけ出すプロセスが有効です。フレームワークを活用し、過去の成功事例を参考にすることで、より早く解決に導くことができます。

パターンB: ビジョン設定型の問題解決

こちらのパターンでは、そもそも「あるべき姿」が不明確な場合に適用されます。ビジョンを作り出し、それに向かって進むための具体的なステップを考えることが必要です。

  • 解決方法:
    まず、ビジョンを設定し、そのビジョンと現状のギャップを分析します。その後、ギャップを埋めるための道筋を描き、具体的な解決策を策定します。このプロセスでは、クリエイティブな発想と多角的な視点が求められます。

課題解決の方法

パターンA「ギャップフィル型」の課題解決方法

①答えを出すべき問題「イシュー」を見極める 

まず、良いイシューの条件:本質的である。深い仮説がある。答えを出せる。なのでこれを念頭に置く。
 基本は材料集めのステップで「考えれば答えが出る」という状況を作る。

②イシューを解けるサイズに分解する。

 イシューを分解し、全体像と各要素(サブイシュー)のプライオリティーを把握する。ポイントは「ダブりなく漏れなく」と「意味のある塊か」。 フレームワークが在るので参考にすると良いが囚われすぎないように注意。
 分解が終わったら、仮説が正しいとしてストーリーラインを組み立てる。
「前提の共有、イシューの明確化、サブイシューの検討結果」を説明し「これらを総合した意味合い」につなぐのが典型的なパターン。
 ポイントは「人に伝える」と「早めに仮でいいから作ってから、随時アップデート」

③ストーリーを絵コンテにする 

 絵コンテとは、分析イメージ(グラフ、CADイメージ 等)のこと
 ストーリーラインに合わせて仮説が正しかったとした、どんな分析結果がほしいかを起点にして分析イメージを描く。

④実際の分析をすすめる

【分析とは「比較すること」である。比較して初めて知覚できる様になる】
人は何かと何かを関連付けること(=2つのニューロンがシンクロ発火したとき)で知覚し理解する。(ただ「分けたり」「数値化」するだけだと少したりない。)

絵コンテのイメージを本当の結果にしていく
まず、優先順位の高いもの、ストーリーラインの中で崩れてはいけないカギとなる部分「前提と洞察」から始める。

注意として、答えありきで始めない、徹底してフェアに行うこと。 
丁寧にやりすぎず、回転数とスピードを意識する

⑤「伝えるもの」をまとめる

 最後にイシューに沿ったメッセージを人に力強く伝わるようにまとめる。「本質的」で「シンプル」にするため無駄なものは省く。
具体的には、①論理構造を確認する。②流れを磨く。③エレベーターテストに備える。という手順でストーリーを磨き、解像度を上げる。

 「流れ」は、ひとつのテーマから次々と鍵になるサブイシューが広がり全体を見失うことなく思考も広がっていく。ものになっていると良い。

パターンB「ビジョン設定型」の課題解決方法

 パターンAの方法を使うことは同じだがまず、目指す姿(ビジョン)を見つけなければいけない。ぼんやりと見えたビジョンにたいしてパターンAの①~④のツールで分析することを繰り返し明晰にしていく。そしてビジョンができたらこの課題はもはやパターンAになるので前記の手順を行う。

必殺ワザ「場面(オケージョン)=利便(ベネフィット)解析」

 市場を市場の最小消費単位である場面にまでバラバラにし、求めるニーズ(利便)の視点で束ね直す。
そこに既存の主要商品のレイヤーを重ねる。ニーズのレイヤーの塊にピッタリ合う既存商品がなければそこが新しい目指す姿になる。

…手順としては分かるが実際どう束ね直しどう並べるのかは相当その分野に対する立体的で高解像度な知覚が無いとできないと思う。

課題解決には、高度な知覚能力を持つ必要がある

私達はアナロジー(類似性、関連性)で知覚するので、知覚のレベルは神経の繋がり合いの多様さ(多岐)と強度によってきまる。⇨⇨⇨「知覚できる領域を増やす=体感的に理解できるコト、価値を感じられるコトを増やす」といえる

深い理解にはそれなりの理解が必要

脳は脳自信が「意味がある」と思うことしか認知できない。そしてその「意味がある」かどうかは、「そのようなことが意味を持つ場面にどのくらい遭遇してきたか」によって決まる

知覚能力を鍛えるための方法

効果的な問題解決には、知覚能力を鍛えることが欠かせません。以下の3つのステップを実践することで、問題を見極め、適切な解決策を見つける力が養われます。

観察力を磨く

問題解決の第一歩は、問題を正しく捉える観察力です。仕事や日常生活で常に「なぜこうなっているのか?」と疑問を持つことで、周囲の環境や状況をより深く理解することができます。

数値化・言語化されていない世界が大半であることを受け入れてよく観察しましょう。

好奇心を持ち続ける

好奇心は新しい知識を吸収する力の源です。問題に直面した際、「どうしてこうなるのか?」と常に探求心を持つことで、新しい解決策やアプローチが見つかります。好奇心を持ち続けることで、知識が蓄積され、問題解決の幅が広がります。

「意識することで鍛えられることがある」と知ることが大切です。

知識と経験を積み重ねる

知識と経験の蓄積は、問題解決に不可欠です。具体的な状況での成功例や失敗例を蓄積することで、より適切な判断ができるようになります。知識を積極的に吸収し、それを日常の問題解決に活かすことが、知覚能力を高める最良の方法です。

百聞は一見にしかず。実感や体感を大切に一次情報や生データを採りに行くことを心がけてください。

知覚能力が支える問題解決

問題解決は、知覚能力を鍛えることでより効果的になります。観察力、好奇心、そして知識と経験を積み重ねることが、問題解決を成功に導く鍵です。日々の業務や生活の中で、問題意識を持ち続け、適切な解決策を見つけ出すスキルを磨いていきましょう。


センスの良さとは、数値化できないものの良し悪しを見極め、最適化できる能力を指します。これは、経験や知識の蓄積によって養われます。美しさを感じる感覚も、過去に自分が「美しい」と思ったすべての経験が基盤となっているのです。

ただし、自分の感覚だけに頼りすぎるのは危険です。「なんとなく良い」と思う理由を明確にすることが重要です。広告業界で使われる「シズル(SIZZLE)」という言葉は、本来「肉がジュージューと焼ける音」を意味しますが、クリエイティブディレクターの水野学さんは「そのものらしさ」をシズルと捉え、演出の大切さを強調しています。

また、物理学者の大栗博司氏は「物事がその機能を最大限発揮しているときが、そのものが最も幸せな状態だ」(真理の探究-仏教と宇宙物理学の対話)と述べています。これに基づけば、脳が「知覚の領域と解像度を増やす」ことも、幸福感と直結しているのかもしれません。

ご精読ありがとうございました。

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