問題
過去問を参考にしたオリジナル問題
論文例
- 日本の国際競争力強化のための課題
1.1.顧客の課題抽出
日本の製造業は、物を提供するためのビジネスモデルをとっているが、解決策そのものを提供するための視点での製造業を行う必要がある。このため、顧客が本質的に求める課題抽出を行うことが課題である。
1.2.DX人材の確保
日本は労働人口の減少が進むため持続的な発展のため労働生産性の向上が必要である。業務効率の向上にはデジタル技術の導入が必須であるがこれを進める人材が不足している。よって、DX人材の確保が課題である。
1.3.形式知化とその活用
日本の製造業は多くが属人的である。このため事業や生産システムを拡大する際に時間かかる、または拡張困難である。これでは成長機会を逃がし発展できない。また、技術ノウハウについても知識が暗黙知となっている。これらを形式知化し、標準化と顧客課題解決のためのサービス構築のために活用することで競争力の強化につながる。このため、形式知化とその活用が課題である。
2.最重要課題と解決のための技術的提案
「形式知化とその活用」を最重要課題とする。理由は、競争力として顧客に提供するソリューションサービスを構築するための根幹であるからである。以下に解決策を述べる。
2.1.IoTの活用
IoTを活用してノウハウや暗黙知をデータ化する。例えば、見積りに必要な各工程にかかる時間の試算方法は現場のノウハウだが、IoTにより工程時間を計測することでデータ化し分析が可能になる。データの蓄積によりシステムで見積りの類推が可能になり標準化される。測定方法は自動化もしくは最小限の動作で採取できるように工夫する。
2.2.機械学習の活用
機械学習を活用して技術者のノウハウと暗黙知をデータ化する。例えば、射出成形技術開発において成形不具合と成形条件の因果関係はノウハウである。多数のパラメータが関連するため言語化できず暗黙知として埋もれている。教師データとして良・不良の成形品と成形条件の組み合わせデータを用意する。機械学習を用い多次元の因果関係を具体的なモデルで表現する。顧客の成形品の情報をカメラ等で入手し学習済モデルを通すことで成形条件の補正値が出力される。これをシステム化し成形技術をサービスとして提供可能にする。
2.3.CPSの構築
CPS(サイバーフィジカルシステム)を構築してデータ化した形式知を科学的な手法で改善する。例えば、PLMを介して設計情報をMESに展開し工場シミュレーターに流すことで工程稼働率やリードタイムを解析できるCPSを構築する。稼働率からボトルネックがわかる。改善としてボトルネック工程の能力向上や負荷がかからない設計変更を行う。導入時はシステムと現場の妥当性に留意しながら構築を進める。
3.解決策に共通して新たに生じるリスクとその対策
3.1.リスク:システムの陳腐化
形式知をベースに構築したシステムは改善を繰り返し高度化するが、競合も同様の進化をした場合に陳腐化し競争力とならなくなる。
3.2.対応策:コア技術の多様化・高度化
コア技術の見極めを行い、それを用いた個別ソリューションを開発し提供する。例えば、成形技術において一般的な樹脂の成形技術は陳腐化しやすいが特殊なMFRを有する樹脂やバイオ樹脂などは成形難易度が高く場合によっては成形機の開発から行う必要がある。
これら個別成形をコア技術として開発しブラックボックス化することで競争力にする。コア技術を軸にした多様性への対応はすり合わせ開発を行ってきた日本の得意領域でもある。
4.業務遂行において必要な要件
倫理:技術研鑽を常に行い最新技術と従来技術からその時に適した技術を利用する。
持続可能性:省エネを配慮したDXシステムを選択する。DX人材と後継者の育成に留意し業務推進する。