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技術士の仕事とは?技術士会資料から読み解く。現役技術士からのアドバイス

「技術士」という資格をご存知ですか?その名前は知っていても、具体的な仕事内容や資格取得の意義について詳しく知る機会は少ないかもしれません。

「資格に興味はあるけど、自分に必要なのか分からない」という声もよく耳にします。

技術士資格は単なる肩書きではありません。あなたの専門技術を社会に認めてもらう強力なツールであり、キャリアアップや新たな挑戦への扉を開く鍵です。実際、技術士として活躍している方々は、現場での信頼性向上や、社会貢献プロジェクトへの参加など、資格を活かして多くの成果を挙げています。

本日は、技術士資格の魅力を掘り下げ、具体的な仕事内容や取得後のメリットについて、実際の事例を交えながら分かりやすく解説します。
「技術士資格があなたの未来にどのような価値をもたらすのか」そのヒントを見つけていただければ幸いです。ぜひ最後までご覧ください。

※本記事は、男女共同参画推進委員会キャリアモデルキャリアモデル集を参考に作成しています。

技術士ってどんな仕事をするの?

技術士の仕事は、単に専門分野を活かすだけではありません。幅広い技術やプロジェクト管理を担い、公衆の利益を最優先に課題を解決するという社会的な役割も担っています。その仕事内容は多岐にわたり、部門によって取り組む業務は大きく異なります。

再生可能エネルギー設備で環境に優しい未来を創る<苗井さんの例>

電気電子部門:苗井さんの例
苗井洋子さんは、電気電子部門の技術士として再生可能エネルギーや省エネ技術を活用し、持続可能な環境づくりに貢献しています。
資格取得が奨励されている職場で、最初は1級電気施工管理技士を取得。その後、さらなるスキルアップを目指して技術士資格に挑戦しました。

現在は営業部門に所属し、以下のプロジェクトに取り組んでいます:

  • 再生可能エネルギー設備の導入:持続可能なエネルギーの普及を推進。
  • 電気設備の省エネリニューアル:エネルギー効率を高め、環境負荷を軽減。
  • 新規事業への挑戦:先端技術を活用した新たな取り組みを推進。

ソリューション営業部では、多様な分野の技術士が集まり、年齢や性別にとらわれない幅広い視点で課題に取り組む環境が整っています。苗井さんは「公衆の利益を最優先する」という技術士の倫理綱領を実践し、特に女性技術士として以下に注力しています:

  • 女性や子ども、高齢者の視点を取り入れた環境づくり
  • 身につけた技術を、生活に直結する形で分かりやすく還元

「身につけた技術を社会に役立てることが技術士の使命」と語る苗井さん。その仕事は、人々の暮らしをより快適で持続可能なものにすることを目指しています。

経営工学を駆使した改善活動のリーダー<小松さんの例>

経営工学部門:小松さんの例

小松加奈さん(経営工学部門)は、製造業における生産管理と改善活動を通じて、効率化と成果向上を実現している技術士です。

30歳の時、工場内の原価低減プロジェクトを率いる中で、技術士資格の必要性を感じ、挑戦を決意。先人の知恵を体系的に学ぶとともに、社外の情報網にアクセスするための一歩を踏み出しました。

現在は、生産管理部で以下の業務を統括しています:

  • 全工場の利益分析と経営層への報告。
  • 利益向上施策の提案と推進。
  • 実績チェックと改善の促進。

さらに、「改善が継続する組織」を目指し、調査・分析からプレゼンテーションまでを行い、仕組みづくりをリードしています。また、新入社員研修や管理職向けの講座も担当複業として製造業特化型のコンサルティングや資格取得講座も展開しています。

技術士資格を取得したことで、提案の承認率が上がり、成果のスピードと量が向上。社内外での信頼が深まり、自身の意見がより重視されるようになったと語ります。「技術士資格は、仕事の質を高め、キャリアを大きく前進させてくれるもの」と小松さんはその価値を実感しています。

これらの事例からわかるように、技術士の仕事は単なる技術の提供にとどまらず、社会や環境に深く影響を与える責任を伴うものです。技術士資格を取得することで、より広い視点を持ち、多様な分野で活躍する可能性が広がります。

技術士資格を取得すると何が良いの?

技術士資格は名称独占資格であり、この資格がなければできない業務はありません。取得者からは次のような多くのメリットが報告されています。

名称独占資格とは、資格を持っている人だけが、その名称を名乗ることができる資格です。(技術士、保育士、作業療法士などが該当します。) 対して、業務独占資格は、資格を持っている人だけが、独占的にその仕事を行うことができます。(医師、看護師、診療放射線技師などが該当します。)

キャリアアップ|名刺一枚で広がる信頼と可能性

苗井洋子さん(電気電子部門)は、技術士資格を取得したことで営業部門での活躍の幅を広げ、その価値を実感しています。

現場代理人としてキャリアをスタートした苗井さんは、再生可能エネルギー設備の導入や省エネリニューアルなどを通じて技術営業の分野に進出しました。しかし、営業の現場では、技術的知識だけでなく、顧客から信頼されることや深いコミュニケーションが求められます。

この場面で力を発揮したのが「技術士」の肩書きでした。名刺に記された「技術士」の文字は、苗井さんを「単なる営業担当」ではなく「技術を理解するプロフェッショナル」として顧客に認識させました。これにより、技術的な会話が増え、顧客のニーズを的確に把握できるようになり、信頼関係がさらに深まりました。

資格取得の過程では、技術知識を自分の言葉でまとめ、わかりやすく伝える力が磨かれました。このスキルが、顧客の課題を引き出し、解決策を提案する上で重要な武器となっています。

「技術士資格を取得したことで、ただの営業担当ではない自分に生まれ変わることができました。この肩書きが広げてくれた可能性は、私のキャリアにおいてかけがえのないものです」と苗井さんは語ります。

彼女にとって技術士資格は、単なる肩書きではなく、キャリアアップと信頼構築を可能にする「鍵」。日々、その価値を実感しながら仕事に取り組んでいます。

収入アップ|副業で得た自信と安定感

技術士資格は、収入面での安定や可能性を広げる重要な手段でもあります。

研究職や教育分野で長年活躍してきた前田秀一さん(化学部門/総合技術監理部門)は、技術士資格を取得したことで副業の道が開けました。企業の研究員として20年間勤務する中で、技術士資格を活かした副業を開始。その収入は「小遣い」程度の規模でしたが、単なる金銭的なメリット以上の意味を持っていました。

技術士という資格があることで、自分のスキルが社会に求められていると実感しました。それが自信につながりました」と前田さんは振り返ります。

現在、多くの大企業が副業を容認しており、技術士資格の価値はさらに高まっています。この資格があれば独立することなく副収入を得る道が開けるだけでなく、自分の技術が社会で認められているという安心感を得ることができます。

「技術士資格があるから、どんな状況でも生き抜いていけるという自信を持てました」と前田さん。技術士資格は、単なる肩書きではなく、「経済的な安定」と「自己信頼」を同時にもたらしてくれる存在だと語ります。

このように、技術士資格は収入アップを実現するだけでなく、キャリアの選択肢を広げ、未来への備えを手助けしてくれます。

やりがい|地域のために技術を活かす

高橋裕二さん(農業部門、総合技術監理部門)は、技術士資格を取得し、その技術力を地域や社会に還元することに大きなやりがいを感じています。

工場勤務で充実した日々を送る中、「会社の枠を超えた自分」を見つめ直したいと考えた高橋さん。本屋で出会った「技術士」という国家資格に挑戦を決意。厳しい試験勉強を続けた結果、47歳で資格を取得。この経験が新たな使命感を呼び起こしました。

技術士となった高橋さんは、地域農業や環境改善プロジェクトに取り組み、科学技術を活用して新たな価値を生み出すことに尽力しています。「技術士資格は、社会や地域に貢献できる資格。それが私のやりがいです」と語る高橋さんの活動は、地域の未来に大きな影響を与えています。

資格を取得したことで、視点は「会社の技術者」から「社会全体の課題を解決する技術者」へと広がりました。公益を優先し、地域の価値を高めるために技術を活かすという使命感を胸に、日々取り組んでいます。技術士資格が、高橋さんのような技術者にとって社会貢献と新たな目標をもたらす強力な資格であることが伝わる事例です。

家庭とキャリアの両立

技術士資格は、専門性を高めるだけでなく、家庭とキャリアの両立を目指す方にとっても大きな助けとなります。飯島さんと真田さんは、育児と仕事の間で揺れながらも技術士資格を取得し、それを最大限に活用しています。

働く母としての模範<飯島さんの例>

飯島玲子さん(建設部門/総合技術監理部門)は、3人の子どもを育てながら技術士資格を取得しました。出産後も働き続けられるか不安を抱えていた彼女にとって、「技術士」の肩書きは、名刺一枚で信頼を得る手段となりました。

資格取得後、飯島さんは建設コンサルタント業務の枠を超え、国のバリアフリー施策や子育て支援など、社会的なプロジェクトを推進。「誰もが安心して暮らせる街づくり」という目標を持ち、多様な分野で活躍しています。

「技術士の勉強を通じて自分の考えを整理できたことが、キャリア形成に大きく役立ちました」と話す飯島さん。家庭とキャリアのバランスを取りながら、自身の専門分野を社会に還元することで、充実した日々を送っています。

育児と仕事のはざまで<真田さんの例>

真田純子さん(建設部門/環境部門/総合技術監理部門)は、第一子を出産後、頻繁に発熱する子どもに対応しながら仕事を続けていました。その中で「技術士を取得して一人前の技術者と認められたい」という思いが芽生えました。

資格を取得した後、管理技術者として複数のプロジェクトを率いる機会が増え、周囲からの信頼も大きく向上しました。特に、名刺を見た相手の表情が変わる瞬間や、打ち合わせで一目置かれる経験が、自信とやりがいにつながったと語ります。

「技術士資格は、私の能力を証明してくれる後押しになりました。資格取得を通じて得た信頼が、仕事を進める上で大きな助けになっています」と真田さんは振り返ります。

「資格取得は、自分の努力で達成できる目標。それが私の支えになりました」と語る真田さんの言葉は、多くの方にとって励みとなるでしょう。技術士資格は、家庭とキャリアの両方を支える確かな後押しとなる資格です。

技術士になる方法と現役技術士からのアドバイス

資格取得の方法はロードマップ記事にてまとめていますのでご活用ください。

技術士を目指す上で、効率的な勉強法モチベーションの維持が合格のカギです。現役技術士たちの具体的なアドバイスを紹介します。

効率的な勉強法

  1. 過去問を繰り返し解く重要性
    榎並万里子さん(建設部門)は、過去問を繰り返し解くことで試験の出題傾向を把握し、疑問点を専門書や技術士ハンドブックで補完しました。独学派の彼女は、早朝の時間を活用して勉強を進め、50歳で見事に合格。「計画的に日々少しずつ進めることが合格への近道」と語ります。時間に制約がある方にも実践しやすい方法です。
  2. 実務経験と試験勉強の両立
    勝見百合さん(⾦属部門)は、日々の実務を試験準備の一部と考え、業務の中で得た知識を試験対策に活用しました。彼女は「実務で学ぶことをそのまま試験に生かす」スタイルを取り、仕事と勉強を無理なく両立。また、「仲間やパートナーの支えが大きな力になった」と語ります。

モチベーション維持

  1. 「技術士になったつもりで考える」姿勢
    高橋健一さん(建設部門/総合技術監理部門)は、日々の業務で「技術士だったらどう行動するか」を自問しながら仕事に取り組むことで、技術士としての視点や責任感を育みました。この姿勢が自然と試験へのモチベーション維持につながったといいます。「技術士になったつもりで日々を過ごすことが、合格後に必要な姿勢を身につける一歩」と彼はアドバイスします。

最後に:技術士資格で広がる未来

技術士資格は、専門技術を活かしてキャリアを飛躍させ、社会や地域に貢献するための強力なツールです。この記事で紹介したように、多くの技術士がこの資格を通じて新たな挑戦に踏み出し、信頼を得ながら活躍の場を広げています。

取得への道のりは簡単ではありませんが、その先に待つ達成感や充実感は、挑戦する価値を十分に持つものです。

最初の一歩は、技術士試験について調べること。

次に、日常の中で「技術士になったつもりで考える」姿勢を意識してみてください。

本サイトでも技術士試験合格へのロードマップ記事技術士2次試験講座比較の記事を用意しています。よろしければご参考になさってください。

挑戦は未来を変える第一歩です。あなたの新たなスタートを応援しています!