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技術士二次試験・必須科目Ⅰ|骨子表の作り方と答案への展開例

2026 9/28
技術士試験
2026年8月12日2026年9月28日

必須科目Ⅰの論文で「何を書けばよいか」は思いついても、課題、解決策、効果とリスクがばらばらになることがあります。骨子は定型文を先に決めるためではなく、設問が求める答えと、その根拠を対応させるためのメモです。

この記事では、令和8年度の公式案内にある試験形式と、技術士ギルドが提案する骨子づくりの練習法を分けて説明します。機械部門を想定した架空・独自の短縮課題で、問題文の読み取りから骨子表の記入、答案の一段落への展開までを見ていきます。例題は実際の過去問・実務事例・公式答案ではありません。合格を保証する型でもなく、本番では必ず当年度の問題文の指示を優先してください。

目次

まず公式の試験条件を確認する

以下は総合技術監理部門を除く技術部門の必須科目Ⅰについて、日本技術士会「令和8年度 技術士第二次試験 受験申込み案内」に記載された条件です。受験年度が変われば、その年度の案内を確認してください。

項目令和8年度の条件
出題・解答2問出題、1問を選択して解答
試験時間2時間
答案用紙・配点600字詰め3枚、40点
合否決定基準必須科目で60%以上の得点
評価項目専門的学識、問題解決、評価、技術者倫理、コミュニケーション

「600字×3枚」は答案用紙の容量であって、1,800字を必ず埋めるという採点基準ではありません。60%は必須科目の合否決定基準であり、個々の設問に決まった配点・字数が公表されているという意味でもありません。公式案内に示された出題内容は、技術部門全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題から多面的に技術課題を抽出し、解決・遂行を提案するものです。

骨子表は「設問の要求」から作る

過去問でよく見る「課題を挙げる→最重要課題を選ぶ→解決策→リスク→倫理」という並びを、毎年の固定形式だと思わないでください。問題によって、求められる数、立場、観点、効果やリスクの扱い方は変わります。まず次の四つを問題冊子の余白に短く書き出します。これは当サイトの学習手順で、公式指定の解答様式ではありません。

読み取るもの骨子に残すメモ見落とすと起きること
対象・立場何の設備・技術部門を、どの立場から扱うか別分野の一般論になる
与件・制約安全、費用、既存設備、関係者など問題文にある条件実行できない提案になる
設問の動詞と数「三つ挙げる」「理由を述べる」「評価する」など一部だけ詳しく答えて要求を落とす
根拠と確認方法なぜその課題・解決策か、何で効果を確かめるか対策名の羅列で終わる

問題を選ぶ段階で、二つの出題を同じ観点で読み、各設問への答えと、その根拠を用意できるかを確かめます。得意なキーワードがあるという理由だけで選ぶと、後半の設問に答えられないことがあります。問題文が要求していない見出しや「課題は必ず三つ」といった数は持ち込まないでください。「問題」と「課題」を取り違えやすい場合は、技術士論文における問題と課題の違いも参考になります。公式の第二次試験過去問題で、部門・年度ごとに実際の指示を確かめる練習ができます。

練習時は、次のような短い空欄から始めると、図の欄を全部埋めることに引っ張られません。項目数や順番は問題文に合わせて増減してください。

対象・立場/守る条件:
設問ごとの要求(動詞・数・観点):
課題A・B…(異なる視点/現状と原因/根拠):
優先する課題と理由(影響・緊急性・実行可能性):
解決策(誰が/何を/どの順序で/何で判断):
効果の確認(指標・比較条件)/新たなリスクと対策:
倫理・持続可能性(設問で求められた場合):

架空課題で骨子表を埋める|機械部門の例

以下は骨子の書き方だけを示すため、当サイトが新しく作った架空の短縮課題です。実際の試験問題、実在企業の事例、合格答案の再現ではありません。説明しやすいよう複数の要求を一つの文にまとめており、実際の出題形式を模倣したものではありません。

複数の工場を持つ架空の製造事業者では、主要設備の老朽化と保全担当者の減少が重なっている。故障、停止、ヒヤリハットの記録形式は工場ごとに異なる。作業者の安全と生活必需品の供給を守り、エネルギー使用量も抑えたいが、一括更新の予算はない。機械部門全般の知見を生かし、多面的な技術課題を三つ挙げ、最優先課題と具体策、効果の確認方法、残るリスクと対策、倫理・持続可能性上の留意点を整理せよ。

最初に「安全・供給・省エネ・予算制約」と、最後まで答えるべき項目を拾います。次の表は練習用の記入例です。数値や対策は架空の状況に応じた仮説で、実際の設備には現場調査とリスク評価が必要です。

骨子の欄記入例
前提と目的一括更新はできない。安全を先に確保し、重大な突発停止を減らし、供給と省エネを両立する。
課題①:設備信頼性・安全故障履歴が分散し、重要設備の劣化兆候と保護装置の不具合を横断的に把握しにくい。運転時間、停止原因、点検結果、保護装置の作動・点検記録で確かめる。課題は重大故障を見逃さず保全順位を決めること。
課題②:人と運用熟練者依存で点検・引継ぎの判断にばらつきがある。作業手順、教育記録、ヒヤリハット、保全時の隔離手順を確認する。課題は安全な作業と知識移転の標準化。
課題③:資源と環境限られた投資で故障削減と省エネを両立する。設備別の電力量、生産量、修繕費、更新費を比較する。課題は安全・供給への影響を踏まえた改修と更新の選択。
最優先と理由課題①。重大故障や安全機能の不備を見逃すと人身被害や供給停止に直結し、設備状態を把握しなければ他の投資順位も決められないため。与件が違えば優先順位も変わる。
実行策①保全責任者が保護装置と重大故障歴を先に現地確認する。危険が確認された設備は稼働継続を前提にせず、停止・隔離と代替生産を判断する。未措置の重大リスク件数を追う。
実行策②設備ID、停止原因、運転時間、点検結果を共通様式で記録する。重要設備では必要な兆候を監視し、計測値だけで確定せず現地所見と照合する。記録欠損率と異常発見から措置までの時間を追う。
実行策③故障の重大性・発生可能性・供給への影響から保全と更新の順を決め、作業者と保全部門で手順を検証する。突発停止時間、同一故障の再発、保全時のヒヤリハットを追う。
効果と残るリスク改善前後の運転条件をそろえ、未措置リスクと突発停止時間を比べる。センサー故障や記録漏れによる見逃しには、定期的な現物点検・計測器の校正・異常通報で備える。他設備を放置しない最低限の点検も残す。
倫理・持続可能性生産や省エネの目標より作業者と公衆の安全を優先し、危険を隠さず停止判断の責任者を明確にする。改修・更新は電力だけでなく、部品寿命と廃棄も含めて比較する。

この例では、三つの課題を「安全・設備」「人・運用」「資源・環境」という異なる視点で分けました。最優先に選んだ課題①に対して、解決策は「危険の即時確認→状態の記録と監視→保全・更新の順位づけ」とつながります。提案が課題に答えているか、効果を測る指標と新たなリスクへの対策までつながるかを見てください。実際の設問が「複数の解決策」を求めない場合や、評価対象を別に指定する場合は表の欄を入れ替えます。

骨子から答案の一段落へ

骨子の語句を長く言い換えるだけではなく、判断の根拠、実施の順序、確かめ方を足します。上の架空例の一部を文章にすると、次のようになります。

最優先課題は、老朽設備の重大故障を見逃さず、安全性と供給への影響に応じて保全の順序を定めることである。現状は工場ごとに記録形式が異なり、停止原因と劣化兆候を比較できない。まず保全責任者が保護装置の状態と重大故障歴を現地で確認し、危険が確認された設備は所定の手順に従って停止・隔離を判断し、代替生産を検討する。次に設備IDを統一し、運転時間、点検結果、故障原因を集約する。重要設備には必要に応じて温度・振動の監視を導入するが、数値だけで判断せず現地所見で検証する。その結果を基に予防保全と更新の順序を決め、作業者と保全部門で手順を見直す。効果は突発停止時間、重大リスクの未措置件数、異常発見から措置までの時間で確かめる。一方、計測器の故障や記録漏れによる見逃しに備え、定期的な現物点検と異常通報の経路を残す。

これは骨子の一部を文章化した例で、1,800字の完成答案でも、採点上の模範解答でもありません。実際の答案では、問題文が求める項目の全てに対応する必要があります。

掲載図は、考える順番と空欄の参考にする

以下の骨子フロー図と骨子表は、検討の順番や記入欄を考えるために掲載しているものです。図の「社会問題」「三つの課題」「三つの解決策」といった欄は公式の指定ではありません。 本番では、設問にない欄は削り、求められた観点を足してください。図を埋めること自体を目的にせず、前節のように「問い→根拠→提案→評価」が対応しているかを確かめます。

骨子検討フロー(練習例)

必須科目Ⅰの骨子検討フロー(技術士ギルドの練習例)

骨子作成テンプレート(練習例)

必須科目Ⅰの骨子作成テンプレート(技術士ギルドの練習例)

文章の型を用意する場合も、設問が求める内容に合わせて組み直します。どの問題でも必ず設問1が課題、設問2が解決策、設問3・4が評価と倫理になるわけではありません。解決策の文章量を一律に増やすより、各設問への答えが薄い箇所に、理由、比較条件、実施手順、確認方法を加えてください。

120分の使い方は手書き練習の実測から決める

2時間は公式の試験時間ですが、「骨子35分・筆記75分・見直し10分」のような配分は当サイトの練習開始時の一例にすぎません。1文字何秒で書けるか、どの設問で考え込むかは人によって違います。1,800字をすべて埋める前提で秒数を計算するより、公式過去問題を使い、選問・問題文の読み取り、骨子、手書き、見直しにかかった時間をそれぞれ測りましょう。翌回は時間が足りなかった工程を調整します。

本番で骨子や配分のメモに使うのは、利用が認められている試験問題冊子の余白です。答案用紙は解答欄の枠内だけが採点対象です。見直しでは装飾や下線より、選んだ問題番号、指定された問題数・答案枚数、設問条件の抜け、課題と対策の整合を優先します。問題番号の未記入・誤記入や指示違反などは失格事項として公式案内に列挙されているため、試験当日の注意事項も必ず確認してください。

書いた後のセルフチェック

次は技術士ギルドの学習用チェックであり、公式の採点表ではありません。答案を見返す際は、抽象的に「文章がうまいか」と考えるより、設問要求との対応を確かめます。

  1. 対象・立場・制約・求められた数や観点を、全て拾ったか。
  2. 挙げた課題は視点が異なり、背景となる現場情報や確認方法があるか。
  3. 最優先の理由は、与件と影響の大きさに結び付いているか。
  4. 解決策には実施主体、順序、判断の根拠があり、効果の指標と残るリスクへの備えが対応しているか。
  5. 安全・倫理を最後の決まり文句にせず、実際の停止・継続判断に反映したか。
  6. 問題番号、解答数、答案枚数、設問の指示を満たしたか。

骨子と文章のつながりを実際の問題で練習するなら、機械部門・必須科目Ⅰ-1の問題分析から答案への例と必須科目Ⅰ-2の例を参照してください。どちらも公式問題の出典と、当サイトによる分析・答案の区別を確認しながら読むと役立ちます。自分の答案を第三者に見てもらうか迷う場合は、論文添削の選び方とサービス紹介(広告を含む)もあります。添削や講座は自己点検の代わりではなく、必要に応じて選ぶ手段です。

まとめ

必須科目Ⅰで先に決めるべきなのは、使う定型文ではなく、選んだ問題の各要求に何を答えるかです。問題文の条件を拾い、課題と根拠、優先順位、具体策、効果と残るリスクを一続きに骨子へ置きます。そのうえで手書きの通し練習を行い、時間配分と抜けやすい設問を自分の実測から直してください。図やテンプレートはこの確認を助ける道具として使い、問題文に合わない欄は外します。

出典

  • 公益社団法人日本技術士会「令和8年度 技術士第二次試験 受験申込み案内」(出題・解答数、答案枚数、試験時間、評価項目、答案用紙の扱い)
  • 公益社団法人日本技術士会「過去問題(第二次試験)」(年度・部門ごとの問題)
技術士試験
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  • 技術士二次試験の論文|必須Ⅰ・選択Ⅲの違いと答案チェック
  • 技術士二次試験の選択科目Ⅱ・Ⅲ|骨子の作り方とテンプレートの使い方

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