- 機械設計において必要な技術や知識を知りたい、身につけたい。
- 既にある程度の基礎知識を持っているが、より高度な設計判断ができるようになりたい。
- スキルを向上させてキャリアアップを目指したい。
機械設計に必要な力は、計算や製図だけではありません。要求を整理し、設計案を比較し、製作・評価の結果を次の設計に戻す力も欠かせません。この記事では業務の流れに沿って必要な知識・能力を整理し、関連資格を学習の目印として紹介します。資格で確認できる知識と、実務で示す設計判断は分けて考えます。
機械設計のプロセスに応じた必要なスキルについて
担当する製品や工程によって必要な力は異なります。以下の図は、要求の整理から設計・製作・評価までを見渡すための一例です。自分が担当する工程で、どの判断に時間がかかっているかを考えながらご覧ください。機械設計の仕事内容は設計プロセスと働き方の記事でも整理しています。

図に挙げた力を、機械設計の知識、業務を進める力、基礎力、担当製品に固有の知識に分けて整理します。例えば強度計算ができても、要求条件の確認や製造部門とのすり合わせが不足すれば、設計は前に進みません。

資格で学べる知識と、実務で示す力
不足している知識を体系的に学ぶ手段として、資格試験は役立ちます。ただし、合格だけで設計判断や関係者調整の実務経験まで示せるわけではありません。学んだ内容を図面、計算書、検証記録などの仕事にどう生かしたかも大切です。
次の図は、学びたい分野と資格の対応例です。すべてを取得する必要はありません。現在の担当業務と次に任されたい仕事を基準に選びましょう。

各資格の解説
資格ごとに扱う領域は異なります。試験範囲を確かめ、いま補いたい知識に合うものを選んでください。実務での習熟は、学習後の設計・検証を通して深めます。
機械設計技術者試験
機械設計技術者試験は、機械設計に関する知識を級ごとに確認する試験です。基礎を点検したい人、詳細設計から基本設計へ仕事を広げたい人は、各級の出題範囲と受験資格を確認するとよいでしょう。
機械設計の専門知識を重点的に点検するならこの試験、技術課題を広く捉えた説明・判断を磨くなら技術士試験という選び方ができます。ただし両者の試験範囲は単純に二分できません。学習順は機械設計の学びのロードマップも参考にしてください。
技術士(機械部門)
技術士は、専門知識に加えて課題の分析、解決策の検討、関係者への説明などを考えるきっかけになります。機械部門の受験を検討する場合は、技術士試験のロードマップをご覧ください。
CAD利用技術者試験
3次元CAD利用技術者試験は、3次元CADに関する知識や操作を級ごとに問う試験です。CAD操作の学習には役立ちますが、要求を満たす構造や公差を決める設計判断とは区別しましょう。
例えば3Dモデルを作る力と、製作方法・検査方法を踏まえて寸法や公差を決める力は別です。詳しくはCAD操作と設計判断の違いをご覧ください。
機械・プラント製図技能検定
機械・プラント製図は技能検定の職種の一つです。合格した等級の技能士を名乗れますが、資格だけであらゆる図面を実務で正確に作成できると保証されるわけではありません。製図を担当する人は、図面表現と実際の製作条件を照らして学ぶことが重要です。
図面の完成後に品質を確かめる実務は、検図のやり方と図面チェックの考え方で具体的に解説しています。
計算力学技術者(CAE技術者)資格認定
計算力学技術者(CAE技術者)資格認定は、固体力学・熱流体力学・振動など分野と級に応じて、解析に必要な知識や技能を確認する制度です。解析結果の妥当性を判断するには、条件設定や実測との照合も欠かせません。
QC検定
QC検定は、品質管理に関する知識をどの程度持っているかを全国で筆記試験を行って客観的に評価を行うものです。
電気主任技術者
電気主任技術者は、事業用電気工作物の工事・維持・運用に関する保安監督を担う資格です。第一種から第三種まであり、扱える設備の範囲が異なります。一般的な機械設計者全員に必要な資格ではなく、電気設備の保安業務を担う場合に検討するものです。
G検定
G検定は、AI・ディープラーニングの活用に関する知識を問う試験です。設計データの分析やAI導入に関わる人には学習の入り口になりますが、すべての機械設計者に受験が必要というわけではありません。
3Dプリンター活用技術検定
3Dプリンター活用技術検定は、造形方法、材料、後工程などを体系的に学ぶための試験です。積層造形を設計や試作に使う場合に、基礎知識を確認する選択肢になります。
IoTシステム技術検定
IoTシステム技術検定はIoTシステム構築・活用に関する基礎知識を中心に、その習熟度を検定することで、IoTシステムに取り組む技術者の対応力の向上をめざした資格検定です。
継続学習のための準備をする

機械設計のスキルの向上は資格取得で終わりません。
機械設計は、答えや確実性がない未知との挑戦です。設計者は常に不確かさに直面し、企業は時間やコストの制限という圧力に直面します。難しい仕事ですが、創造の喜びがそれを価値あるものにしています。良い機械を作り続けることが、設計者に期待されています。
資格を取った後も、設計の失敗や評価結果を振り返り、次の判断に生かすことが大切です。一人で続けにくい場合は、社内の設計レビューや、技術士会・機械学会などの勉強会を活用する方法もあります。学んだ内容を実際の設計課題に当てはめてみましょう。
最後に
機械設計の学び方は、担当工程で必要な知識を洗い出し、試験範囲などで基礎を補い、実務の設計・検証で確かめる順番が基本です。資格は目的ではなく、その一部を進めるための手段として選んでください。
ご精読ありがとうございました。
本ブログでは機械設計者のキャリアアップとして活用できる資格として機械設計技術者試験や技術士を紹介した記事も用意しています。よろしければご一読ください。
