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技術士二次筆記試験 本質をおさえる!!論文のポイント解説

この記事は約12分で読めます。
この記事はこんな悩みを解決します
  1. 技術士二次試験 筆記試験論文のポイントを知りたい
  2. 必須Ⅰと選択Ⅲの論文の違いを理解したい
  3. 「課題」「解決策」「評価」「要件」についてしっかり理解したい。
  4. 合格できる論文のコツを知りたい

この記事では、違いの分かりずらい必須Ⅰと選択Ⅲの論文の違いを踏まえて「課題」「解決策」「リスク、懸案、効果」「要件」についてのポイントを説明します。

併せて、「技術士論文全体に共通する合格論文を書くためのコツ」を紹介します。

この記事を読むと、技術士論文の重要ポイントについて理解を深め、合格論文の書き方をより具体的にイメージできるようになります。

必須Ⅰの論文の書き方はこちら
選択Ⅱ、Ⅲの論文の書き方はこちら


必須(部門)と選択(科目)の論文の違いについて理解する

必須(部門)と選択(科目)の違いを紐解いていきましょう。

技術士二次試験では以下の観点で受験者の能力を見ています。(こういったの能力を有するには8つのコンピテンシーが必要と解釈しましょう)

  1. 社会の求めていること、社会が技術に求めていることを踏まえて、「自分ならこうする」を論理的に述べられる人材かどうか。
    • これは、技術士法第一条「科学技術の向上と国民経済の発展に資すること」からもわかりますね。
  2. 「複合的な問題を解決する」能力を有しているかどうか。
    • 技術士第二次試験の目的>に次の一文があることからわかります。
      • 複合的なエンジニアリング問題を技術的に解決することが求められる技術者が、問題の本質を明確にし、調査・分析することによってその解決策を導出し遂行できる能力を確認することを目的とする。

そして

必須と選択の論文の違いは、この2つの視点で部門と科目のそれぞれのレベルで回答できるかを確認されていることに由来しています

テーマの違い

必須(部門)と選択(科目)ではテーマの違いがあります。

必須科目Ⅰ
社会問題について,「技術部門」に関わる基礎的なエンジニアリングの観点から,多面的に課題を抽出する。
そして,その解決方法を提案し遂行していくための提案を論文に書く。
選択科目Ⅲ
社会ニーズや技術進歩において生じているエンジニアリングの問題について,「選択科目」に関わる観点から多面的に課題を抽出する。
そして,問題解決のための手法を提示して,その遂行方策について論文に書く。


解答の違い

解答での違いは具体度の深さです。

  • 必須科目では「提案」
  • 選択科目では「提示」さらに、遂行も「提示」すること。

ここでの提案と提示の違いは、

  • 提案:自分の考えや意見を述べることです。
    • 「こんな方向性で検討するつもりです。いかがでしょうか」ぐらいのニュアンスでしょう。
  • 提示:相手に伝えたい物事を指し示すこと。つまり人に理解させることです。
    • 「具体的にこのように遂行する計画です」ぐらいのニュアンスでしょう。

このような深さの差が解答論文の中で現れます。

具体的には、解決策の具体度が異なります。

解決策の具体度が異なるということはその課題の具体度も異なることになります。

コツとしては、丁度よい抽象度の解決策を考えるのは困難なので、基本は「このくらいでいいだろう」から一歩踏み込んだ内容を書くスタンスでいいでしょう。

試験官も抽象的な解答よりは具体的な解答を好みます。

課題について理解する

必須Ⅰと選択Ⅲの論文は課題の抽出から始まります。

課題の抽出がずれているとその後のすべてがズレた論文になってしまいます。題意にあった課題を確実の抽出できるようになるための方法を確認しましょう。

課題とは

念のため、「問題」と「課題」の違いを押さえておきましょう。

  1. 「ゴール」にたどり着くためにいろいろな「目標」を立てます。
  2. その中の一つの「目標」と現状のGapが「問題」です。
    • 技術士試験のテーマでも複数の「問題」がありその中から自身の部門や科目を踏まえた主要な問題を選択します。
  3. Gapを埋めるための行動が「課題」です。(課題は常にポジティブな内容になります)

課題抽出の方法(選択Ⅲ)

選択Ⅲ論文の課題抽出の手順は以下のように行いましょう。

  1. 社会ニーズや技術進歩において生じているエンジニアリングの問題の抽出
    • 問題から「技術伝承の変革が必要である」という社会問題読み取ったとしましょう。
  2. 要因分析
    • なぜ「技術伝承の変革が必要である」かの要因を挙げます。例えば、労働人口減少、雇用形態の変化、市場が求めるサービスの変化…
  3. ゴールの設定
    • 要因の中から自身の部門にあっていて尚且つ影響の大きい要因をゴールとして書き換えます。例えば、雇用形態の変化により流動性の高い雇用環境に対応するために属人性を排除した開発品質を担保するシステムを構築することをゴールとする。
  4. 技術的な目標(目指すところ)
    • ゴールに到達するために必要な目標を立てる。例えば、形式知化とその活用とする
  5. 3つ程度の多様な技術問題(科目の問題)
    • 目標に到達するための障害を探します。例えば、形式知化のためのデータ収集方法が必要、職人技の伝承に時間が必要、活用手段が必要等を挙げます。
  6. それぞれの主要因(原因)特定
    • それぞれの問題について検討します。例えば、機械にセンサーがないため、パラメータが多すぎて言語化が困難なため等が要因となります。
  7. 技術課題(選択科目の課題)の設定
    • 最後に課題として設定します。例えば、IoTによるデータ収集、機械学習によるモデル化、CPSを構築しシミュレートによる知見を得る等が課題として挙げられます。
白書や新聞などのメディアにあるようなことを実現するために、「○○部門の技術者として何をすべきか」が課題となります。

具体的な書き方やテンプレートはこちらの記事でも解説しています。

課題抽出の方法(必須Ⅰ)

必須Ⅰとの違いは最初の「問題のテーマ」と最後の「技術課題」が部門の課題である点のみです

必須Ⅰ論文の課題抽出の手順は以下のように行いましょう。

  1. 社会問題の設定  
  2. 要因分析   
  3. ゴールの設定   
  4. 技術的な目標(目指すところ)
  5. 3つ程度の多様な技術問題 
  6. それぞれの主要因(原因)特定
  7. 技術課題(部門の課題)の設定

吹き出し:題意とは外れますが、良くある勘違いなので・・・。DX人材確保は、単に必要性でしかありません。技術部門としてどんな問題がありDX推進できないのか?といった具体的な技術内容まで落とし込む必要があります。一般論の「人口減少」などで片づけないようにしましょう。

具体的な書き方やテンプレートはこちらの記事でも解説しています。

解決策について理解する

最重要課題

最重要課題の選定は、各課題を比較してどうして効果があるのかを示す必要があります。

問題文の題意を分析し、選択した課題が重要な点を説明しましょう。

解決策の提案

課題の解決は簡単にしてはいけません。

次のことに注意するようにしましょう

  • 最重要課題を「遂行」するに当たり、制約条件があるはずです。その制約条件を踏まえて、問題点を解決する数だけ抽出しましょう。
  • 問題点には原因(主要因)があります。それを分析してどんな技術を解決策として適用すべきかを考えましょう。
  • 技術の適用に当たりどんな工夫が必要なのかを述べて、「高等の専門的応用能力」があることを示しましょう。
  • 挙げた解決策が自身の部門や科目のすべきことかどうかも確認しましょう。経営者や営業が検討すべきことを挙げてもダメです。

問題と課題、解決策の検討フローや文章のテンプレートはこちらの記事(必須選択)でも解説しています。

評価「リスク・懸案・波及効果」について理解する

必須Ⅰと選択Ⅲで問われるリスク・懸案・効果(波及効果)について解説します。
この設問では「評価」のコンピテンシーを確認しています。

設問に明示的な記載はありませんが結果を示す必要があります。

解決策を実施した結果をまず示し、そのうえでどのような成果と波及効果、またはリスクと懸案事項があるかを検討し記載しましょう。

課題がどの程度になるから、目標はどうなる? その時に生じる正負の成果がリスクや波及効果です。

結果は、課題(設問2で選択した最重要課題)についての達成度です。

具体的な書き方はこちらへ(必須選択科目

設問のパターン

設問のパターンとしては

  1. 解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策
  2. 解決策を実行した上で生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策

の2種類です。

リスクとは

リスクとは、発生が不確定な起きるかもしれないマイナスの現象です。(解決策のデメリットではありません。)

リスクを上げる際には、次のことに留意しましょう

  • リスクでないものを書かない。
    • 例えば、対策を講じる際に増えると分かっている費用や工数の増加はリスクではありません。
    • 陳腐化のようなものもシステムの問題で事前に予測して更新計画を構築しないと事業は成立しないのでリスクではありません。
    • 解決策の実施の中で解決すべき内容もリスクではありません。。
  • 関係のない内容を書かない。
    • 解決策と関係なく生じる可能性のあるリスクも書かないようにしましょう。

懸案事項とは

懸念事項は、リスクと似た意味ですが、リスクより広い意味(抽象的)の言葉です。

波及効果と併せて聞かれることが多く、リスクより広く浅い回答を求められています。

まれにですが、設問1の課題で挙げた内容を懸案事項として挙げなおす方がいます。重複しないように気を付けましょう。

具体性のある回答を書いても減点される可能性は低いのでリスクと懸案の違いをあまり気にする必要はありません。

波及効果とは

波及効果は、他の組織や次業務、社会や科学技術への影響です。

ちなみに、成果は目標の達成度です。(目標(環境配慮)を達成するために課題(材質の変更や使用量削減)を複数設定したのでしたね)

要件「技術者倫理/社会の持続性」について理解する

必須Ⅰの設問4では要件を求められます。

最後の設問なので時間がなく機械的に「公衆の安全を・・・」と書き始める方がいます。

それがどう採点されるかの詳細はわかりませんが何を求められているか理解してから書くようにしましょう。

要件を書く際のポイント

要件とは設問1~3を遂行するために必要な条件のことです。

次のことに注意して書くようにしましょう。

  • 書かれてはいませんが、題意に沿った内容を書きましょう。つまり「社会問題」「技術目標」を踏まえた内容であるべきです。
  • SDGsの文言をそのまま記載しないこと。同じ内容でもここまでの回答に合わせた表現にすること。
  • 少なくとも250字(10行)程度は書くようにすること。筆記試験で技術者倫理のコンピテンシーを確認できるのはこの設問のみです。
ここまでの内容が論文に反映できていることが大前提ですが、さらに合格に近づくためのコツを紹介します。

合格できる論文の書き方のコツを学ぶ

ここからは、合格できる論文の書き方のコツを解説します。
次の4つの観点から整理してみましょう。

  • 「一読理解」
  • 「訴求力」
  • 「技術表現力」
  • 「論文書式」

「一読理解」に関するコツ

一度で理解できるように次のことを意識して書きましょう

  • 読み手のことを考えて書く
  • 端的過ぎるくらいに書く

「訴求力」に関するコツ

文章の内容は十分かよく確認しましょう。(問題に答えているか、専門性はアピールできているか)

  • 問題文をよく読む
  • 題意を正確に掴む
  • 問題文の指示通りに答えを記述する
  • 記述内容の論理的整合性を重視する

「技術表現力」に関するコツ

わかりやすくかいてあるか確認しましょう。

  • まずは不合格論文と思わせないこと
  • 文字数のバランスを配慮する
  • 論理的に書く
  • わかりやすく段階的に書く。
  • タイトルをわかりやすく、できれば魅力的に書く
  • 図表・箇条書きを使う

「論文書式」に関するコツ

正しい書き方になっているかを確認しましょう

  • 「だ・である調」で統一する
  • 語尾には断定した表現を使う
  • 装飾を使う
  • 読みやすい字で書く
  • 『設問』と『論文の見出し』を対応させる
  • 『見出し』をアンダーラインで目立たせる
  • 章ごとに1行開けない
  • 単位はSI単位系で統一する
  • 『はじめに』と『おわりに』は不要(冗長的な文章は一切不要です。)

論文作成時のチェックリスト

最後に骨子作成時と本文執筆時に意識すべきことをまとめます。

チェックリストとして活用して頂ければと思います。

骨子作成中のチェックリスト

骨子作成時には以下の項目をチェックしてから論文を書き始めましょう

  • 題意を明確に理解したか。
  • 課題が多面的であり、内容はそれぞれダブっていないか。
  • 自身の専門部門(科目)の課題であるか。(専門Ⅲ) 解決策はそれぞれ別の視点になっているか。
  • 解決策と関係のないリスクを挙げていないか。
  • 解決策で解決すべき内容が新たなリスクに上がっていないか。
  • もう一歩踏み込んだ専門的内容にならないか。(特に専門Ⅲ)
  • 要件は問題のテーマに関連しているか。(必須Ⅰの設問4)
  • 機械設計プロセスの全体を意識しているか。(専門Ⅱ-2)
  • リーダーシップについて、自部門と他部門に対しての記載ができているか(専門Ⅱ-2)
  • アピールできる専門知識のキーワードが入っているか。
  • 図表を使ってわかりやすくできないか。

論文執筆中のチェックリスト

論文を書いているときは次のことを意識しながら書きましょう。

  • 一読理解できるか。
  • 一つの文章は70文字以下(3行以下)にできているか。
  • 抽象的な表現でごまかしていないか。(適切・高水準・価値・自由度・最適化 等の表現は注意)

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