本連載記事では、約6カ月の勉強期間で、技術士2次試験(筆記)に合格するためにやるべきことをまとめています。6カ月という期間は、技術士の論文対策を行う上では決して十分な時間とは言えません。しかし、要点を押さえて効率的に進めることで合格を狙うことは可能です。
本連載の中では試験論文を最短で無駄なく攻略するためのステップをまとめています。具体的に機械部門(選択科目:機械設計)での論文攻略を目指す実例を見ながら一緒に合格をめざしてみませんか?

今回は第5ステップ「論文作成(選択Ⅱ)」です。第4ステップで決めた予想問題を例に、設問を読み取り、骨子から答案に仕上げる流れを示します。書いた答案を見直す方法や、必要に応じて添削を受ける際の確認点も解説します。
論文作成(選択Ⅱ)の流れ
最初は調べながら、過去問の書き方を参考にして構いません。まずは一つの答案を最後まで書き、設問への対応と技術的な根拠を見直しましょう。次の順番で進めます。
- 選択Ⅱ-1の論文作成例
- 選択Ⅱ-2の論文作成例
- 書いた答案を見直す
選択Ⅱ-1の論文作成例
まず、片持ちはりを例に三つの構造最適化の相違を説明する問題を扱います。
選択Ⅱ-1の問題
令和7年度 機械部門(機械設計)選択科目Ⅱ-1-3(日本技術士会の過去問題)
構造最適化は大きく,寸法最適化,形状最適化,トポロジー最適化に分類される。先端に集中荷重が作用する片持ちはりを例にとり,それぞれの構造最適化について24字×8行の範囲に図を描き、相違点を明らかにして説明せよ。
選択Ⅱ-1の解答例

選択Ⅱ-1は解答欄が短いため、詳細な骨子表よりも、三つの最適化の違いと図で示す要素を短くメモしてから書く方法が考えられます。図を描く時間も見込み、設問で求められた相違点が伝わる順に配置しましょう。
対応するコンピテンシーの確認
選択Ⅱ-1で評価されるコンピテンシーは、「専門的学識」と「コミュニケーション」です。素直に問われたことに答えることがそのままコンピテンシーのアピールにつながります。
選択Ⅱ-2の論文作成例
先に選定したテーマの中から「DX」のシミュレーション・最適化にかかわる問題を解答してみます。
令和8年度の公式問題で解く手順を詳しく確認したい方へ:リモートモニタリングによる状態監視を題材に、設問分解・計測項目・答案骨子・約1,200字の解答例までを「実際に問題を解いてみる|機械部門(機械設計)選択科目Ⅱ-2」で解説しています。
選択Ⅱ-2の問題
令和7年度 機械部門(機械設計)選択科目Ⅱ-2-1(日本技術士会の過去問題)
あなたは設計部門の開発リーダーとして, CAEに加え機械学習を用いて機械部品の設計を進めることになった。業務を進めるに当たり、製造部門との調整を考慮したうえで、下記の問いに答えよ。
(1) 対象とする具体的な機械部品を1つ挙げよ。また, CAEと機械学習を用いて設計を行う利点を述べよ。
(2) 機械学習に用いる学習データ(入力するパラメータと設計上の評価項目)を示し、その根拠を述べよ。また、機械学習を用いて効率的に設計を進める手順と留意すべき点や工夫を要する点を具体的に述べよ。
(3) デザインレビュー (DR)に加え、業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方法について述べよ。
骨子表作成
選択Ⅱ-2の解答は、骨子をしっかり作ってから書き始めましょう。

今回の問題では、2「過去問題分析」で紹介した骨子表をそのまま使うことはできませんが、上図のような骨子を作成してから論文を書き始めましょう。
選択Ⅱ-2の解答例
骨子を基に作成した解答論文です。

参考)解答テンプレート
選択Ⅱ-2の問題はいくつかパターンがあるためすべての問題にそのまま使えるわけではありませんが、参考にできる解答論文パターンのテンプレートを紹介します。

大切なのは内容です。体裁はテンプレート(パターン化)を利用して効率よく論文を書けるようにしましょう。
対応するコンピテンシーの確認
筆記試験の選択科目Ⅱ-2では、「専門的学識」「マネジメント」「コミュニケーション」「リーダーシップ」を意識します。設問ごとに何を問われているかを先に整理し、知識だけでなく、業務の進め方や関係者との調整が具体的に伝わるように書きましょう。口頭試験にもコンピテンシーの評価があるため、Ⅱ-2だけで評価が完結するわけではありません(日本技術士会のコンピテンシーに関するFAQ)。
今回の問題なら、設問(2)では計算・試作・確認に使える時間や人員といった資源をどう配分するか、設問(3)では製造部門などの関係者と何をすり合わせるかが重要です。コンピテンシーの名称を答案に並べるのではなく、実際の判断と行動で伝えましょう。
書いた答案を改善するヒント
最後に、書いた答案の改善点を見つけるための方法を紹介します。
自分で見直し、必要に応じて添削を受ける
令和8年度の合否判定基準では、筆記試験の選択科目は60%以上が基準と公表されています。一方、設問ごとの配点や個別答案の採点内訳までは示されていません。自分の点数を推測するより、設問に答えているか、技術的根拠と論理が伝わるかを確かめましょう(文部科学省の令和8年度合否判定基準)。
答案を見直す方法は、主に次の二つです。
- 公式の過去問題と設問要求に照らして、自分の答案を確認する
- 必要に応じて、技術士や指導者など第三者の意見を聞く
過去問題の分析はステップ2「過去問題分析」で扱いました。ここでは、自分で見直した後に第三者の添削を利用する場合の考え方を整理します。
添削では、自分では気づきにくい設問の読み違い、根拠の不足、論理の飛躍を指摘してもらえます。依頼先を選ぶ際は、次の点を確認しましょう。
- 自分の受験部門・選択科目や、最新の公式問題を踏まえているか
- 修正箇所だけでなく、設問とのずれや修正理由を具体的に説明してくれるか
まずは答案を自分で読み返し、各設問への答え、具体的な技術根拠、制約条件や関係者への配慮が書けているかを確認します。そのうえで、改善点が見えにくい場合や異なる視点が欲しい場合に、添削を利用するとよいでしょう。添削は合格の必須条件ではなく、答案を改善するための選択肢です。
社内の先輩技術士、個人の添削者、講座の指導者には、それぞれ得意な領域があります。企業か個人かだけで質を決めず、受験部門への理解、指摘の具体性、回答までの時間、費用を比べて選びましょう。複数の意見が食い違うときは、公式問題の設問要求に立ち返って判断します。
一度添削を受けたら、指摘どおりに直すだけで終わらせず、なぜ直すのかを理解し、次の答案にも同じ観点を使えるか確かめてください。自分で設問と答案を照合できるようになることが、添削を利用する目的です。
添削を利用する場合の確認方法やサービス選びは「技術士二次試験の論文添削」をご覧ください。有料講座も含めて比較したい方は「試験対策講座の比較」も参考にしてください。
生成AIは答案作成ではなく、抜け漏れや論理の確認に使う

生成AIは、自分で作った骨子や答案の抜け漏れ、論理の飛躍を確認する補助として使います。最初から答案を作らせるのではなく、まず自分の経験と知識で骨子を作ってから確認を依頼しましょう。
次のプロンプトに問題文と自分の骨子または答案を入れると、確認する観点を整理できます。
あなたは、技術士第二次試験の答案を確認するレビュアーです。以下の問題文と、私が作成した骨子または答案を確認してください。
#確認してほしいこと
1. 問われている内容に答えていない箇所
2. 技術的な根拠が不足している箇所
3. 前提・課題・対策・効果のつながりに飛躍がある箇所
4. 表現が曖昧で、具体化した方がよい箇所
#制約
・完成答案の代筆はせず、修正すべき点を質問形式で示す
・入力内容にない経験や事実を追加しない
・不確かな内容は、不確かであると明示する
#問題文
(問題文を貼り付ける)
#骨子または答案
(自分で作成した内容を貼り付ける)
生成AIの出力には誤りが含まれる可能性があります。技術的な内容は一次資料や自分の専門知識で確認し、会社名、顧客名、未公開の製品仕様、社内資料などの機密情報は入力しないでください。
最後に|最初は調べながら、マネしながらで大丈夫
本日は、論文作成(選択Ⅱ)について解説しました。
今回の解答例は、成績通知で選択科目がA評価だった受験者が、試験後に復元した答案です。実際に提出した答案と完全に一致するとは限らず、この答案単独の採点結果を示すものでもありません。
予想した問題がそのまま出るとは限らず、この受験例でも当日は限られた時間で4問の答案を書きます。今回の復元答案を「最低限の合格水準」と決めつけるのではなく、設問の読み方、骨子の組み立て方、具体例の入れ方を学ぶ一例として使ってください。自分の受験部門の公式問題でも同じ手順を試してみましょう。
それでは、続けて6「論文作成(選択Ⅲ)」に進めましょう。
注)本連載では、2次試験の中の論文対策のみについて触れています。「試験申込書の作成方法」や「口頭試験対策」、「試験対策講座の比較」についても別記事で解説していますのでよろしければ参考にしてください。
