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技術士2次試験論文攻略|12ステップ:4「問題予想」

本連載記事では、約6カ月の勉強期間で、技術士2次試験(筆記)に合格するためにやるべきことをまとめています。

第2ステップ~第4ステップでは、過去問分析から試験問題の予想までを行います。本日は、第4ステップである「問題予想」について解説いたします。第2ステップ-第3ステップで問題予想のための材料集めを進めていました。これらの材料を用いてどのテーマを中心に学習を進めるかの決定をしましょう。


注)本連載では、2次試験の中の論文対策のみについて触れています。「試験申込書の作成方法」や「口頭試験対策」、「試験対策講座の比較」についても別記事で解説していますのでよろしければご参考にしてください。

<申込書の書き方についての記事へ>

<口頭試験の対策についてはこちら>

<試験対策講座の比較記事はこちら>

問題予想の流れ

問題予想は次の順で進めていきます。

  1. 選択Ⅱ-1用に3テーマ選択
  2. 選択Ⅱ-2用に3テーマ選択
  3. 必須Ⅰと選択Ⅲ用に3テーマ選択

それぞれ、第2ステップ第3ステップでの結果をふまえて解説していきます。テーマの選択数が少なく感じると思いますが、最優先の各3テーマをまずは対策しましょう。そして、学習が進む中で優先度の変更やテーマの追加などを検討していけば問題ありません。

選択Ⅱ-1用に3テーマ選択

まずは、選択科目のⅡ-1の問題の選定から行います。

テーマ選定

選択Ⅱ-1用には、3テーマ選択します。

しかし、選択Ⅱ-1は具体的な専門知識を問う問題ですので予想した問題があたることは稀でしょう。なので、学習としては、予想した3テーマから始めて少なくとも過去3年分(3×4=12問)はすべて解いておきましょう。(問題を解く時間は第1ステップ「計画」の中でも触れていますが、11「全文作成」の頃に行います。ここでは問題予想を進めていきます。)

基本的には第2ステップ「過去問題分析」でまとめたリストを見ながら検討します。ポイントは次の2つです

  • <Ⅱ-1の出題頻度の多いテーマ>を選択する。
  • <Ⅱ-2やⅢの問題のなかでⅡ-1の形にできそうなテーマ>がないか調べる。

「過去問題分析」での分析結果は次のような内容でした。

  • 選択Ⅱ-1は、力学や加工法の問題が頻々。また、機械要素(軸受け等)、品質や設計の手法(FMEA等)、材料についての問題も多い。さらに、3Dプリンターや構造最適化、CAEの問題は近年のトレンドとなっていそう。

又、「資料分析」での考察も含めて考えると以下の3テーマの優先度が高いように思います。

  • DX (シミュレーションや最適化に関わる問題。また、PLMやデジタルツインなども考えられる)
  • 力学 (脆性や疲労などシミュレーションで予測しづらい領域が狙われている気がする)
  • 機械要素 (定期的に出題があるが近年出題がない。しかし、機械設計において最重要なのでそろそろ出題されるか)

このような分析を行い最終的に3テーマ程度選択してください。(安心してください誰がやってもドンピシャで当たることはありません。重要度と出題者の意図を考えることが大切なのです。)

問題化

次に選択したテーマについて具体的に問題の形にします。たとえば、先に選定したテーマ「力学」については次のような過去問題がありました。

R7年Ⅱ-1-2
高サイクル荷重を受ける金属製の機械構造部材の疲労強度設計手順について 述べよ。
出典:公益社団法人日本技術士会

CAEなどのシミュレーションで注意が必要な領域が狙われていると考えると、まだ出題されていない「衝撃」や「潤滑」などがあり得そうです。これを問題の形にすると

衝撃荷重を受ける金属製の機械構造部材の強度設計手順について安全係数の考え方を踏まえて述べよ。

等となります。このように、過去問を参考にテーマごとに問題の形にしてください。

選択Ⅱ-2用に3テーマ選択

選択科目のⅡ-2の問題選定に進みましょう。

テーマ選定

「過去問題分析」での分析結果は次のような内容でした。

  • 選択Ⅱ-2については、シミュレーション(最適化)や原因調査といったテーマが中心。必須Ⅰや選択Ⅲで出題されていたテーマ(「カーボンニュートラル」など)が出題される傾向も。

又、「資料分析」での考察も含めて考えると以下の3テーマの優先度が高いように思います。

  • DX:シミュレーションや最適化 (再頻出テーマなので外せない)
  • 原因調査 (再頻出テーマなので外せない)
  • DX × 経済安全保障  (直近の選択Ⅲで出題されており白書の最重要内容)

問題化

次に選択したテーマについて具体的に問題の形にします。たとえば、先に選定したテーマ「DX × 経済安全保障」については過去問題を参考に下記のように問題化できます。

現代社会は、ヒトやモノが地球規模で緊密な連携を保ちながら発展を遂げている。何らかの理由で連携が分断されると、機能回復まで多大な時間を要する可能性がある。機械設計の技術者には社会に製品を供給し続けるレジ リエントな設計活動が求められる。あなたが製品開発 設計責任者に選ばれた場合を想定して、下記の内容について記述せよ。

(1)開発製品を具体的に1つ示し、どのようにレジ リエントな設計を実施するかを明確にして、調査・検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)レジ リエントな設計を進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)デザインレビュー (DR)に加え、業務を効率的、効果的に進めるための関係者と の調整方策について述べよ。

このように、過去問を参考にテーマごとに問題の形にしてください。

必須Ⅰと選択Ⅲ用に3テーマ選択

必須Ⅰと選択科目Ⅲのテーマ選択に進みます。

テーマ選定

ほとんどの部門で必須Ⅰと選択Ⅲは共通のテーマで問題ありません。但し、問題の深さ・解答の深さは異なりますのでご注意ください。

「過去問題分析」での分析結果は次のような内容でした。

  • 必須Ⅰでは機械固有とDXが多い
  • 選択ⅢではDXについてのテーマが主流

又、「資料分析」での考察も含めて考えると「DX及び経済安全保障」の優先度が高いように思います。さらに、機械固有の問題を予想することは困難ですのでそれ以外で選択しました。

  • DX (出題頻度とものづくり白書の分析から最重要)
  • 経済安全保障 (出題頻度とものづくり白書の分析から最重要、競争力向上とレジリエンス強化)
  • 環境 (ものづくり白書の分析から最重要)

結果的には白書の主要テーマと全く同じになりました。

問題化

テーマ「DX 」について具体的に問題の形にしましょう。「資料分析」での考察から「多品種少量生産市場にロボットを導入する際の課題」というDXテーマのキーワードが挙がっているのでこれを具体的に問題化します。

我が国では、少子高齢化により労働者人口の減少に歯止めが掛からず、あらゆる産業において人手不足が懸念されている。特にこれまでロボットが導入されていない少量多品種市場にロボットの導入を進めることが重要である。

(1) あなたは機械設計の技術者として、まず、使少量多品種市場にロボットの導入を具体的に想定して説明せよ。次に、導入における多角的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。
(2) 前問 で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。また、その課題に対する複数の解決策を設計者の立場から示せ。
(3)前問で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
【必須Ⅰ専用】(4) 前問(1) ~ (3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の 観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。

このように、過去問を参考にテーマごとに問題の形にしてください。

問題を作るのが大変なので、選定したテーマの過去問じゃダメですか?と聞かれることがありますが「ダメです」と答えるようにしています。理由は簡単で過去問と同じ問題は出題されないからです。

たとえば、選択Ⅱ-1の問題に機械要素である軸受けをテーマにした問題は定期的に出題されていますがいずれも観点の違う問題となっています。

R3年
回転する軸を支える機械要素として、すべり軸受の特徴と使用上の留意点を 転がり軸受と対比して説明せよ。
H30年
回転軸の支持機構に転がり軸受を用いた場合に,軸受寿命に影響を与える要因を2つ挙げ、設計において留意すべき点について説明せよ。
H28年
回転軸を支持する機械要素には大きく分けて、流体膜による滑り軸受と転動体を用いた転がり軸受がある。この2つの長所と短所を説明し、機械設計における使い分け方法を述べよ。

理想は過去問もオリジナル問題もやる。片方しかやらないならオリジナル問題を作成して解くことを推奨します。

参考)テーマ選定の結果

今回の機械部門(選択科目:機械設計)の例としては下記のようなテーマ選定にしました。

最後に|標準は定まったので安心して進めよう

本日は、問題予想について解説しました。

技術士試験論文の最初の壁は「範囲の広さ」です。より正確には「範囲がとてつもなく広いように感じてしまう」ことです。結果として何から手を付けたらいいか分からず、対策準備が完了しないままで試験当日を迎えてしまう方も多いのではないかと思います。

今回のステップ「問題予想」で、対策準備のゴールが設定できました。今回選定したテーマ/問題に対して対策をすれば良いのです。標準は定まりました、安心して次のステップ「論文作成(選択Ⅱ)」を進めましょう。