記事内に広告が含まれています。

技術士2次試験論文攻略|12ステップ:2「過去問題分析」

本連載記事では、約6カ月の勉強期間で、技術士2次試験(筆記)に合格するためにやるべきことをまとめています。6カ月という期間は、技術士の論文対策を行う上では決して十分な時間とは言えません。しかし、要点を押さえて効率的に進めることで合格を狙うことは可能です。

第2ステップ~第4ステップでは、過去問分析から試験問題の予想までを行います。本日は、第2ステップである「過去問題分析」について解説いたします。

広範な技術士試験を6ヵ月程度ですべて網羅することはほとんど不可能です。しかし、出題範囲を分析することで出題傾向はつかめます。実際のところ技術士2次試験の多くの問題は限られたトレンドの中からの出題が多くなっています。このため、試験問題を予想することは効果的な試験対策になります。

早速、過去問題の分析から始めましょう。


注)本連載では、2次試験の中の論文対策のみについて触れています。「試験申込書の作成方法」や「口頭試験対策」、「試験対策講座の比較」についても別記事で解説していますのでよろしければご参考にしてください。

<申込書の書き方についての記事へ>

<口頭試験の対策についてはこちら>

<試験対策講座の比較記事はこちら>

過去問題の分析の流れ

過去問題の分析の流れは、大きく2段階になります。

  • 過去問題のリスト化と分類
  • 過去問題の解答例の分析

目的は、それぞれ「問題の傾向把握」と「解答方法と合格レベルの確認」です。順に見ていきましょう。

注)ステップ2~4の作業は同時並行的に行うことになります。連載記事全体を読んでから本記事「問題予想」の作業を始めることを推奨します。

過去問題のリスト化と分類

まずは、問題の傾向把握のために、過去問題のリスト化と問題のテーマを分類していきます。対象年数は、過去5年分、範囲は自身の部門の科目のみでOKです。※本連載記事では機械部門(選択科目:機械設計)を例に説明を行います。

リストのフォーマットは簡単なもので構いません。過去問をリストに一覧化し、問題のテーマ分類を記入してみましょう。※過去問は、技術士会のサイトから入手可能です。

上表は、機械部門(選択科目:機械設計)の例です。

テーマ分類のやり方についての説明

たとえば、R7年の必須Ⅰ-1の問題は下記です

I-1 機械製品に求められる仕様は高度化し、設計製造をとりまく社会的な環境も変化し てきている。この状況に対応して新しい技術を開発する必要があるが、その利用に当 たっては社会や環境に重大な影響を与える可能性があることを十分に認識する必要がある。 本問は、公益を確保するために、新しく開発した技術を負の側面も含めて多面的に理解 したうえで製品に採用する際の考え方について、問うものである。

(1) 公益に影響を及ぼしうる新しい技術を1つ想定せよ。機械部門における技術者として の立場で、その技術を機械製品やシステムに適用する場合に公益を確保するために解決 すべき技術課題を多面的な観点から3つ抽出し、観点を明記したうえで、その技術課題 の内容を示せ。
(2) 前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その理由を述べ よ。また、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) 前問(2)で示したすべての解決策を実行しても残存しうる,若しくは新たに生じう るリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4) 前問(1) ~ (3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の 観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。

出典:公益社団法人日本技術士会

この問題を簡潔にすると「公益を確保するために、新しく開発した技術を負の側面も含めて多面的に理解したうえで製品に採用する際の考え方についての課題」となります。

本例ではテーマ分類を「AI・ロボティクス」としたがなぜそうなるかを簡単に説明します。

詳細は3「資料分析」で書いていますが、本例の機械部門の試験問題のテーマ(特に必須Ⅰや選択Ⅲ)の多くは関連白書である「ものづくり白書」に由来します。2025版ものづくり白書を見ると大きなテーマとしてここ数年通して「製造業の競争力強化に向けたDX」が掲げられており、より具体的に「ロボット・AIの開発・活用」が挙げられています。

他にも「新しい技術」としては新マテリアル、量子技術、新エネルギー技術なども白書の中で上がっているのでこれらをテーマ分類としても問題ありません。しかし、機械部門の技術士試験に幅広く対応する解答ネタを準備する(詳細10「解答ネタ整理」)という視点で見ると「AI・ロボティクス」というテーマで対策を進める方が効果的でしょう。また、2025版ものづくり白書を見る限り「AI・ロボティクス」はかなり重要度の高いテーマとなっていることも分かります。このように、出題者側の意図と効率的な試験準備を行うことを踏まえてカテゴリーテーマを決めていくと良いでしょう。

※ちなみに、サプライチェーン間での「データ連携」なども重要度の高い新技術といえますが、機械部門のテーマとして取り扱うことが難しいように思います。
※補足ですが、「サプライチェーン強靭化」というテーマは選択Ⅲ(機械設計)の問題で出ているため白書と試験問題の連関が確認できます。

過去問分析の結果

最後に、過去問題の表から分かることをまとめましょう。

  • 必須Ⅰでは機械固有とDXが多い
  • 選択ⅢではDXについてのテーマが主流。
  • 選択Ⅱ-2については、シミュレーションや原因調査といったテーマが中心。必須Ⅰや選択Ⅲで出題されていたテーマ(「カーボンニュートラル」など)が出題される傾向も。
  • 選択Ⅱ-1は、力学や加工法の問題が頻々。また、機械要素(軸受け等)、品質や設計の手法(FMEA等)、材料についての問題も多い。さらに、3Dプリンターや構造最適化、CAEの問題は近年のトレンドとなっていそう。

このように、過去問をテーマ分類し傾向を把握しましょう。この分析結果は、第4ステップ「問題予想」で活用し、どのテーマを中心に学習を進めるかの決定に役立てます。

過去問題の解答例の分析

次は、解答例の分析を行います。目的は「解答方法と合格レベルの確認」です。第5ステップ以降で「論文作成」を行いますが、その際に最初に参考となるのが実際に合格した論文の解答例です。どのように書かれた論文が合格しているのかを見て分析していきましょう。

技術士試験の論文は、問題のテーマは様々ですが設問の形式はいくつかのパターンに限定されています。この問いに答えるため、解答の論文も基本的に形式化できます。論文形式(以下、骨子)を埋めるための情報を解答例から抽出することで「解答方法と合格レベルの確認」をしていきましょう。

ここでは次の手順で解答例の分析を行います。

  • 各問題「必須Ⅰ」「選択Ⅱ-2」「選択Ⅲ」毎の骨子表を準備する。
  • 解答例から骨子を埋めるための情報を抽出する。

骨子表の作成

体裁は何でも構いません。下表を参考に骨子情報を抽出しまとめるための表を作成してください。

※選択Ⅱ-1は、600字の短い論文なので骨子は不要です。書き方については5「論文作成(選択Ⅱ)」の中で解説します。

解答例を骨子へ落とし込む

次に解答例を読みながら情報を抽出し骨子に記入していきます。

※解答例の入手については、新技術開発センター()の復元論文集や各種通信講座等で提供されています。

それでは各問題について解答例を骨子の表へ落としていく例を2つ見てみましょう。

「必須Ⅰ」の例

問題は下記です。(R6年度の機械部門の問題)

日本の製造業は高性能かつ信頼性の高い製品を大量かつ安価に生産することで,一時は世界市場を席巻することができた。しかし近年は他国における技術力の向上,生産性及び品質の向上,価格競争等の影響から世界的な競争力を失いつつあり,国内資源が乏しく加工貿易を軸にしてきた日本全体の経済活動を今後持続していくための戦略が必要とされている。対応策としてイノベーションを推進すること等が提唱されているが,より具体的な策として,他国製品に対して大きな競争力となる新たな付加価値をつける,あるいは現在の付加価値を他の追随を許さないほどに強化することが考えられる。現在の日本を取り巻く様々な状況(人口,教育,経済,環境保護等)を暁まえたうえで以下の問いに答えよ。

(1)機械製品を1つ想定し,その製品に対して機械技術者の立場から考えたときに有効と考えられる付加価値を1つ提案せよ。さらに,その付加価値の実現のためにどのような課題が考えられるか,多面的な観点から3つ抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その諜題内容を示せ。
(2)抽田した課題のうち最も重要と考えるものを1つ挙げ,これを最も重要とした理由を述べよ。その課題に対する複数の技術的な解決策をと示せ。
(3)前間で示したすべての解決策を実行しても残存しうる若しくは新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
⑷業務遂行に当たり,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から必要となる要・留意点を題意に則して述べよ。

出典:日本技術士会

これに対する解答の例は下記です。

この解答例から骨子表を埋める情報を抽出してみましょう。

「選択Ⅱ-2」の例

問題は、下記です。(オリジナル問題)

あなたは、設計部門のリーダーとしてサプライチェーンの強靭化を指揮することになった。具体例を挙げ、下記の内容について記述せよ。
(1)開発製品を具体的に1つ示し、どのようにサプライチェーンの強靭化を実施するかを明確にして、調査・検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)サプライチェーンの強靭化を進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的・効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

この問題に対する解答の例は下記です。

骨子表に情報抽出すると下記のようになります。

例を参考に、解答例の論文を骨子表にまとめてみてください。

論文がどんなポイントで書かれているか?や骨子表を使いこなすための作業ですので、数問でやってみれば十分かと思います。但し、解答例の内容が解答ネタとして使える可能性があるので解答例自体には目を通しておくと良いでしょう。

最後に|骨子が9割

本日は、過去問題の分析について解説しました。

分析の結果は、第4ステップ「問題予想」で活用し、どのテーマを中心に学習を進めるかの決定につなげることになります。

また、骨子を使った解答例の整理方法も解説しました。技術士2次試験では600字×9枚の論文を限られた時間で書くことになります。この時間は多くの人にとってかなり忙しく、大幅に書き直すような時間はありません。

なので、論文を書き始める前の骨子の完成度が非常に大切になってきます。ステップが進む中で骨子を活用した練習も出てきます。骨子(表)を常に頭の片隅において置くようにしましょう。

それでは次の「資料分析」へ進みましょう。